Quantcast
Channel: 卓上遊戯の冒険
Viewing all 31 articles
Browse latest View live

UDA“ゴールデンウィークK君迎撃”ゲーム会('14/05/04)

$
0
0
黄金週間中の4日日曜日にUDAゲーム会を開催しました。

この日は地元福井の高専を卒業し、現在は進学した大学院で研究に励まれているK君が学業に忙しい中帰省されるということで、それなら久しぶりにゲーム会を、という趣旨で急遽開催が決定したクローズゲーム会でした。

午前10時にUDAに4人が集まりこの日のゲーム会は始まりました。

それではプレイできたタイトルについて簡単にレポートしておきます。

“炭鉱讃歌”(クラマー&キースリング/ペガサス/2013年)

昨エッセンで発表されたクラマー&キースリングのワーカー配置。僕自身は2回目のプレイ。

炭鉱にて石炭を採掘し、注文にあわせて出荷することで勝利点を獲得します。

メインとなるアクション選択のメカニクスはワーカー配置ですが、アクションポイントとセットコレクションの要素もある、見通しのよい重めのファミリーストラテジ。

ワーカー配置に関しても誰かが選択したアクションがその他のプレイヤーには選択できないというわけではなく、ワーカー1個の追加コストを支払うことで選択可能なので、“緩めのWP”と見ることも可能なところが大きな特徴のひとつ。

こねくりまわされたゲーマーズゲームに揉まれた体には、この晴れ渡ったような視界のクリアネスは爽快とさえ(笑)。それ故に可能だからこそ他者の持つ注文書にはしっかりとした目配せが必要で、その点も意識したアクション選択が本作の妙味で、ここから良質で適度なインタラクションが生まれており、その部分を楽しむのが本作最大の醍醐味。

運要素や重さ、競技性などが絶妙のバランスで、この気持ち良いプレイアビリティの高さはフリークにも受け入れられるかと。しっかり面白いナイスゲームで評価はPositive

セッションの方は開始タイトルからK君の快勝で早くも迎撃されるという結果にw やっぱり彼の強さは衰えていなかったようですw

“ブリュッセル1893”(エティエンヌ・エスペルマン/パールゲームズ/2013年)

昼食休憩の後、本日のメインディッシュの立卓。ベルギー発パールゲームズの目下の最新作です。

以前より再プレイの機会を窺っていたタイトルでしたが今回ようやく念願叶って2回目のプレイを実現できました。

1900年前後の欧州、アールヌーヴォーという建築様式のテーマが際立って印象的なワーカープレイスメント。

シンプルなWPを骨組みに、競りやエリアマジョリティ、各種パラメータ管理、多種多様な得点獲得方法などが肉付けされており、昨今のゲーマーズゲームの特徴のひとつでもある“一手の判断が複数の選択を兼ねる”こともあって初見での見通しの悪さは相当なもの。

とはいえ手番でやることは基本的にワーカーをひとつ配置していくだけなので、意を決してセッションに飛び込むと、インストを受けた段階でのモヤモヤとした霧がかかったようなイメージが徐々に晴れていって、プレイを終えるころにはむしろシンプルにさえ思えるプレイヤーもいるかもしれません。

むしろプレイヤーの頭を悩ませるのは多数用意された勝利点獲得の選択肢の中から最善の一手を見つけ出すことで、最近のタイトルにしては珍しいくらいの濃密なインタラクションのせいもあって、プレイヤー間のパワーバランスが刻一刻と変化していくのもダイナミズムを生み出していて面白い。

建築や人物、エリアマジョリティ、美術品の売却、終了後の追加ボーナスなど多岐に渡る得点獲得要素の中から、セッションの成り行きというダイナミズムの中で、もっとも効率の良い選択をコツコツと選んでいくことが勝利には必要で、緻密なマネジメントゲームの妙味がたっぷりと味わえる良作。Positive

セッションの方はこちらも初プレイのK君の快勝に。(いや、あれだけ赤い(K君)土地踏んでたらそりゃねえ、という声もw)

“トロワ”に始まるパールゲームズの諸作に僕は一種のクレバーなアカデミズムというか、迸る才気煥発というか、そういった“頭の良さ”のようなものをいつも感じます。まあもっともそういった部分がゲームに必要だとは思っていませんが、狙わずに製作しているにも関わらず毎回必ずそういったフレーバーを嗅ぎ取れてしまうところに彼らの“かっこよさ”を感じてしまったりします。

“イスタンブール”(ルディガー・ドーン/ペガサス/2014年)

注目のドーン、ニュルンベルク新作。

4×4で16枚用意されたアクションタイルを自コマが移動していくことで様々なアクションを発動し、勝利条件となる5個のルビーの一足早い収集を目指します。

都合16種用意された総アクション数が初心者にとってはトゥーマッチになるかもしれませんが、ゲーマーズゲームというよりはあくまでも“重めのファミリー・ストラテジという立ち位置”というのが僕の解釈で、間口は広い方かと。

各種のバランスが適度に手堅く纏められ、収束性もよい、これといった欠点の見当たらない良質なユーロのお手本のようなタイトル。まさにプレイして面白いエリート。

しかし一方で、磨きに磨かれた結果表面がツルツルになり、取り付く島もない球体のようなものを想像してしまったのは“宝石の煌き”の時と同じで、ただフリークには逆にそこが物足りないというか、どこかに一種歪な部分があって、そこにひっかかることで、そのひっかかりをめぐって検証したい僕のような好事家にはアンビヴァレンツな複雑な印象もあります。(まあそんなボードゲームファンはあくまでもマイノリティですがw)

運要素が低めなこともあり、頭の良い人は先々のアクションを頭の中で組み立てることでリードを確保することも可能でしょうか。参加者全員がその領域までいったとしたら本作の持つ競技性の高い一面も垣間見れるかもしれませんね。

良く出来た2014年の収穫の一作にPositive-の評価を。この完成度の高さこそドーンの力量で、その点において彼は評価されてしかるべきでしょう。

“太陽、海、そして砂”(コルネ・ファン・モーセル/クワリ/2010年)

南海のリゾート地にて集客による収入を競うオランダはクワリのモーセルの4年前のタイトルを初プレイ。

手番には4つのアクションの中から一つを選択。“時間”と“お金”がアクションのコストとなっており、アクションによってはラウンドを跨いでワーカーが拘束されることで、時間がコストとして処理されています。

モジュラーボード的に1ゲーム全体の期間である8週間の訪問客のデータがバッチリ決定されてゲームが開始されるとその後は運要素の全くない世界で、揺らぎは各プレイヤーの手番毎の判断によってもたらされるのみで、セッションの根幹を成すのはいわば“インタラクションのうねり”。

展開を注視し、最善のアクションを選択していくその見極めが本作最大の醍醐味。運要素ゼロのアブストラクト的なゲームシステムとカッツカツのリソース(本作の場合ワーカーに相当する“家族コマ”と“お金”)マネジメントが明るい南の島のイメージとなぜか非常にマッチしている印象で、優れた収束性もあって、セッションはあっという間に終わってしまいました。

自分の箱庭をコツコツと少しづつ大きくしていく拡大再生産のメカニクスは、理不尽な部分のないクリアな将来の展望から組み立てる計画性の妙味との相性も良く、ゲームは実に面白いものでした。

クワリやモーセルにそれほどの期待をしていなかった僕ですがこれは発見。Positive

バックパッカーの移動のルールなどルール読みの段階ではなにやらキワモノ的なイメージを持っていましたがプレイしてみると思いの外素直でシンプルなシステムで、その点も実に好印象。まだまだリプレイしたい一作との出会いでした。

“プロスペリティ”(ライナー・クニツィア&セバスチャン・ブリーズデイル/イスタリ/2013年)

昨エッセン新作のひとつ。3回目のプレイということもあり今回はじめて個人ボードは高難易度面を使用しました。

極端なまでに要素を削ぎ落とした文明発展型ともとれますし、成長曲線の実に緩やかな(いつまで経っても楽にならない!)拡大再生産型ともとれるタイトル。

手番で選択できる各アクションの内容や決算のシステムの明快さなどゲームのボリュームはあっさりとしたカロリーの低いものでありながら、セッションが進むにつれプレイヤー毎に進んでいる道が徐々に固有のものに少しづつ変化していくのが面白く、各自の思惑の違いから生じる結果の優劣を競うのが本作の主旨でしょうか。

まだ要検証ではありますが、シンプルながらいろいろなプレイの方針が考えられそうな奥の深さを予感させてくれる点に僕は大きな魅力を感じており、評価はPositive。ゲーマーを終始悩ませることになる悶絶するようなハードなバランスも実に素晴らしいかと。ということで本作もリプレイ欲求の強いタイトルのひとつ。

全てのタイル(施設)に名前が付されており、この辺りのフレーバーも同時に楽しめます。



以上5タイトルを一日にわたりクローズで楽しみました。

既プレイ3作、初プレイ2作でしたがいずれも当たりと言ってよく、非常に充実したセッションばかりだったと思います。

K君はじめ卓を囲んだみなさんお疲れ様でした。また帰省されたときは是非一緒にボードゲームを楽しみましょう。

シュリンクを斬る!㉟ “ヘリオス(Helios)”の巻

$
0
0
今月25日に予定されているオープンゲーム会でプレイしたいこともありニューゲームのシュリンクを切りました。

今年のニュルンベルクトイフェアにて発表されたハンスイムグリュック社の新作“ヘリオス”です。

黄色を基調にした色使いのボックスです。

それでは早速シュリンクに刃を入れます。

ぶすり! ずずず…。

切れ目からシュリンクを剥がしていきます。

むしゃむしゃ…。

シュリンクを剥がしました。

デザイナー二名とタイトルロゴ。見慣れないデザイナーの名前です。新人でしょうか。

お馴染みハンスのロゴ。僕の大好きなロゴです。

側面にもアートワークがあしらわれているボックスです。

ボックス裏面。

最近のハンスはこのようにデザイナーの写真つき紹介コラムを裏面に載せるんですよね。

プレイ中のイメージ。共有するメインボードはないタイプ?

デザイナーやイラストレーターのクレジット。アートワーク担当のローハウゼンは“炭鉱讃歌”の人だったかな。

ドイツ製ですね。シュミット社の住所も確認できます。

ハンス社はミュンヘンに居を構えているのですね。

それでは箱を開けます。ぐぐぐ…。

ぱかり!

まずは原文ルールブック。

取り出しました。

美しいルールブックの中身。

ハンスなのでドイツ語一か国語のみ。この辺は昔から変わりませんねw

裏表紙には各種建物の説明がまとめられていました。

つづいてパンチングシート。

取り出してみてその分量に驚きました。ずっしり!

この厚みです。全部で12枚もあるようです。テープでバンドルされている理由が分かりました。

固定しているテープを取り外します。

パンチングシートは全部でご覧のとおり。4枚ずつ3セットあるようにも見えます。

最初の4枚組。これから抜いていきます。左下にナンバリングが確認できます。

というわけで最初の4枚組を抜きました。個人ボードとお金でしょうか。

何気に裏面を確認したところ固有のキャラクターがプリントされていました。ふむふむ。

つづいてこちらの4枚組にいきます。

抜きました。にしてもこれは抜きやすい!これは五段階評価のA(非常に抜きやすい)と認定。バリもまったく出ませんでした。

こちらも裏面はこの通り。

そして最後の4枚組へ。

抜き終わりました。お金や特殊タイルの類いですかね。

スタートプレイヤーマーカーとなるドラゴンも組み立ててみました。ひとつは予備かな?

箱に残っていたのはこちら。

木製コマをいつものように並べてみました。欠品はないようです。

家の形をした、細かい部分にまで手が入っているコマが全部で35個。

こちらのキューブはリソースと思われます。5種14個ずつで計70個。

樹脂製の赤いコマも。“マナ”のようです。

近づいてぱちり。

箱に残っていた最後のコンポーネント。

この3点。

4人分のサマリ。手の平サイズの小さいものでした。

小型の巾着も。

4人分ありますね。所有物を隠すのに使うのかな?

それでは箱にしまっていきましょう。まずは仕切りを取り付けます。

タイルや木製コマをどっさりと納めます。けっこうギッシリと余裕のない感じ。

その上を個人ボードで蓋をする感じ。ほとんど余裕がなかったので結局スタートプレイヤーマーカーは分解しました。

最後に原文ルールブック。

蓋をして終了。

期待のハンス新作です。これからルールを読んで25日のセッションに備えたいと思います。

UDA土曜ゲーム会('14/05/10)

$
0
0
10日の土曜日に月1ペースで開いているUDA土曜ゲーム会を開催しました。

例によってプレイできたタイトルについて簡単に感想をまとめておきます。

この日は午前中は3人だったので最初の2タイトルのみ3人でのセッション、“造船所(シップヤード)”から終了まで4人でのセッションとなりました。

“ヴォーパルス(拡張ヴィシャス入り)”(I was game/2010、11年)

100年間にわたる戦乱の世界を再現した国産ドラフトカードゲームを拡張のヴィシャス入りでは初めてのプレイ。

救いのないテーマと暗いアートワーク、両隣との軍拡競争、カツカツのリソースマネジメント、“経年”のメカニクスにより次々と死んでいくユニットたちとゲームを構成する各要素がどれもシリアスなあまりにも正統派な一作。

ドラフトとの相性も考えられた配置や戦争などからなる4つのフェイズで構成される1ラウンドを4回つまり4ラウンド行えばゲームは終了で、1時間弱のセッションでこれだけ豊かなプレイ感が得られるのだから高く評価されているのも充分頷ける一作。

各種カードのシナジーや土地と建物も絡めた戦略、そこに絡むドラフト時のプレイヤーのスキルなどなどリプレイに耐えうる奥深く豊かな世界を予感させる本格派で評価はPositive-。あまりにも硬派で完成された“閉じた世界”ゆえ気軽に誰にでもプレイを勧められないところがネックか。

拡張“ヴィシャス”で建物が3種といくつかのユニット、それに5金カウンターなどが追加されています。がこちらは本体をヘビープレイしたすれっからし向けか。あくまでも本体のシステムに沿ったささやかなエクステンションながら正直なところ僕にはまだ早いように思えました。まあそれくらい本体の完成度が高いということでしょう。

“ヴァルハラ”(アレッサンドロ・ズッキーニ/アミーゴ/2008年)

海賊テーマの、一種の変形エリアマジョリティ。

手番には船タイルを1枚ドローし、侵入するフィヨルドを決定。進めた先の土地に上陸し、その土地での効果を処理していきます。

ラウンドの区切りで3つある各半島のマジョリティチェックを行い、1位と2位に勝利点が入る仕組み。これを3回つまり3ラウンドでゲームは終了。

面白いのは上陸における戦闘で、防御側が一方的に防御するかしないかを選択できる点。この時ヴァルハラやアスガルドといった本作特有の名前を持つリソースプールのメカニクスが活きるようにデザインされています。この辺りの攻防が実にドイツゲームらしくシステマチックにデザインされており、そこがプレイアビリティの高さや収束性の向上につながっている点に感心しました。

シンプルながら適度なインタラクションから駆引きの面白さも十分に堪能できるすっきりとした収束性のよい良質なユーロで、システム重視派も満足できる一作。Positive

このクオリティならズッキーニもシャハトやクニツィアと対等に渡り合えたはず。リプレイバリューも十分かと。

“造船所(シップヤード)”(ウラジミル・スーヒィ/CGE/2009年)

午後1でこの日のメインディッシュの登場。地味ながら評価の高い本作をようやく初プレイ。

“グレンモア”を連想させるようなアクショントラック上でアクションを選択し、自分の船を建造していきます。他人に選択されているアクションは選べないという厳しい制限はワーカープレイスメントのそれを彷彿とさせます。

ゲームが開始されるとタイルのドロー以外には運要素はなく(しかしそれとて開始前に山札として確定はされているのですが)、競技性の高い一品。

インストや大量のタイルのせいで準備に手間取りますが、セッション自体には冗長な部分がなく、プレイに入る前は一見要素が多すぎてトゥーマッチかと思えましたが、プレイアビリティが抜群に高いせいか、セッションの間はコツコツとマイシップの組み立てに集中できるオモシロゲームでした。

繰り返しになりますが、デベロップに労力の割かれた末に完成をみたと思われる高いプレイアビリティが保証された環境で、船の土台から完成後の試運転までを視野にいれた長期的短期的プランニングの妙味を存分に味わえる楽しさは現代の良質なフリーク向けのボードゲームならではで、この手のフリーク向けモダンユーロが好きなプレイヤーのツボをしっかりとおさえてくるあたり、流石はチェコ。

無駄な部分は一切ないとは思いますが準備からすべて込みで4時間以上かかったのは気になったこともあり評価はマイナス付のPositive-。同好の士が夜な夜な繰り返しプレイするに足りる、リプレイバリューも十分なタイトルかと。

“辛いトウガラシ”(アルヴェ・D・ヒューラー/ツォッホ/2014年)

ビッド系マストフォローの新作トリックテイク。

4つのスートの中で、最大獲得と最小獲得のスートをそえぞれひとつビッドします。完璧な正解で10点が獲得できます。

トリックを獲得した時にプレイされたカードに加え、場のカードも獲得するルールなので、その点も考慮したビッドが必要になります。

ビッド系はその場の成り行きの操作性のバランスがゲームの面白さに直結してくると思っています。要するに“ままならなさ”の匙加減が肝要ではないかと。

その点このタイトルはギリギリでままならなさが強すぎるという印象。こちらのスキル不足もあるかもしれませんが、トリックの成り行きが予想の範疇を外れすぎる感がいささか強めでした。

シンプルで面白いメカニクスと良質なアートワークには好感が持てましたが本セッションでの評価はNegative+。もう少しプレイを重ねてみたいものです。

“ラムと名誉”(ステファン・フェルト/アレア/2006年)

未プレイのまま棚に眠っていたフェルトのアレアデビュータイトルを初プレイ。

各所でのダイスロールがやはりなんといっても本作でメインとなるメカニクスですが、セットコレクションの要素があったり、またアクション選択に手持ちのコマを消費する構造は一種のアクションポイント制のメカニクスとして僕の目には映りました。

今でこそそのイメージは軽減されましたが、当時のアレアブランドのイメージからすると拍子抜けするようなシンプルなダイスロールの寄せ集めで、発売直後にリアルタイムでプレイしていたら先入観も手伝って肩すかしを食らっていたかも。

とは言え程よい考えどころやジレンマは残されており、胃が痛くなるようなフェルト流マゾヒズムこそ希薄なものの、競技性優先のフリークも充分に楽しめるダイスロールという位置付けで、これはフェルトの確実に存在する“別の一面”の側を代表してもおかしくはないまずまずの良作という印象。

海賊どうしの“乱闘”フェイズはダイスロールの面白さを端的に提供することに成功しており、こんなある種軽妙洒脱ながらしっかり面白いゲームに仕上げてくるあたりにフェルトの才覚の幅の広さをあらためて感じました。もっと早くプレイしておくべきでしたね。Positive-

見た目の暗さがマイナス方向にしか作用していないように思われるのが残念。このシステム、メカニクスならもっと明るいアートデザインの方が広範な人気を博していたようには思えます。(ただ個人的にはこの暗い海賊テーマは好きだったりするのですがw)

“七つの印”(ステファン・ドラ/アミーゴ/2003年)

ドラによるビッド系マストフォロートリックテイク。

配られた手札から予想するのは獲得するスートとその数。そこまでならよくあるタイプといえそうだが、本作では“妨害者”になることも宣言できる点で、そこがオリジナリティに寄与している。

先の“トウガラシ”と同じく、この手のトリックテイクではトリックの成り行きへの支配の塩梅がひとつの肝になると思っているわけですが、切り札が“赤”と指定されていることが上手くバランスの調整に寄与している印象で、この適度な“ままならなさ”はかなりいい線いっているかと。

“妨害者”がかなり安直に逃げられるという点で、完成度において画竜点睛という気もしないでもないのですが、専用デッキのトリックテイクでここまでしっかりしている点は間違いなく評価できる。

ドラの実にクールで鋭い一品にPositive-の評価を。

15トリック中7トリックを予想し見事に的中させたH君は間違いなくこの日のMVP。心洗われるようなファインプレーでしたね、あれは。



このあとシャハトの“カランバ!”もプレイしましたがルールに不明点もあり協議終了に。ルール再確認のうえ再プレイに臨みたいものです。


以上6つ(プラス1)のタイトルを一日かけて楽しみました。

参加していただいた皆様お疲れ様でした。またの機会を宜しくお願いします。

シュリンクを斬る!㊱ “ねずみのクレックス(Maus Von Klecks)”の巻

$
0
0
今回は本シリーズ初めてのハバタイトルを取り上げます。

昨年発表された新作“ねずみのクレックス”です。

シュリンクを被った新品のゲーム本体がこちら。

では早速カッターの刃を入れます。ザクッ!

ザクザク…。

できた切れ目からフィルムを剥がします。

はい、シュリンクを取り払いました。黄色のハバカラーがまぶしい。

上部にあしらわれたタイトルロゴ。

絵筆で描かれたようなタッチのフォントはゲーム内容に合わせたものでしょうね。

ドイツ製であることがはっきりと刻印されています。

その隣にはお馴染みの赤いハバのロゴ。

作者とアートワーク担当のクレジットも箱表面に。

ボックス裏面全景。

プレイ中の写真。ついたてが使用されるゲームなんですね。

仕様です。色とりどりのコンポーネントを使って創造性を発揮する、みたいな感じでしょうか。

これだけの各国語がありながら日本語はないんですね(哀)。

ルールブックが六か国語で書かれていることを示す一種のアイコン。

では箱を開けます。ぐぐぐ…。

ぱかっ!

ルールブックやカタログなどの小冊子類をまずは取り出しました。

ルールブック。

英語でも表記されているので安心w

ハバのカタログも入っていました。

その中身。ハバはこういう子供向けおもちゃも多数生産しているんですね。

チョーキングハザードの警告文。こちらは日本語がありました(がなんか変?)。

コンポーネントはこちら。

木製コマ類を取り出しました。

袋を破り背の高さで並べてみました。左からねずみのクレックス、にわとりのニキ、うさぎのフリーダ、とらのヴィンセント、いぬのパブロとネーミングされています。

さすがはハバと思わせる作りの凝った可愛いコマたち。これだけのものを単なるスコアリングトラックマーカーに使うのですから贅沢ですよね。

右の青い六面体ダイスは手番プレイヤーが振ってお題を決定するためのもの。ずっしりとした大きさのある立派なものです。

もう一方の袋の方。

色々なものが入っているようです。

まずはついたて5枚。

それぞれにキャラクターのあしらわれたユニークもの。

ついたての表面。

裏面。プレイヤー側の面ですね。

残りのコンポーネント。

パレット5枚。

アップにするとこんな感じ。3つの絵の具を載せるスロットがあります。

色鉛筆と絵筆。これを円形に並べて一種のスコアリングトラックをつくります。

こんな何気ないタイルひとつとってもハバのコンポーネントのクオリティの高さを感じてしまいます。

スコアリングトラックを一周することでもらえる“小さいケーキ”。これを3つ集めることが勝利条件です。

アップにするとこんな感じ。

絵の具は10色。それぞれプレイヤー数分の5つあります。

カラフルな絵の具たち。色弱の人にはちょっと厳しいのかなあ…。

ゲーム開始時に各プレイヤーに支給されるパーツ類を小袋に仕分けました。

同封されていた5枚の袋を利用。

残りのタイル類も小袋に。

こちらはダイソーの3番。

では箱にしまっていきます。

まずはついたて。

蓋をして終了。

ハバ版“イメージは何色?”といわれている家族で楽しめる連想系コミュニケーションゲームの登場です。

じつにシンプルなルールで間口の広い、好感度の高い一作という印象で、プレイが楽しみです。

5月31日のこと、翌1日に“西4”で大量に購入したものについて(~あるいは第116回“はまゲー”参戦記&GM2014春戦利品について)

$
0
0
今年もゲームマーケット春に参加してきました。

5月31日(土)と6月1日(日)、その二日間についてこちらにメモのようにぽつぽつと書いておこうと思います。

まずは31日。

午前9時前の特急しらさぎで郷里の武生を発ちました。

荷物は必要最小限にとどめ、できるだけ軽装を心がけるいつものやり方です。

持込み用のゲームもいくつかあったのですが、おかげでリュックサックひとつでもやや余裕のあるくらいの量に納めることができました。(しかし実はこの時購入したゲームを入れるための、長年愛用している百均の大型バッグを忘れてしまっていることにこの時は全く気付いていませんでした。)

終点名古屋で新幹線のぞみに乗り換え(これもいつものやり方です)、今回は新横浜まで。

この日は道中車内にて急病人が発生し、“お客様の中にお医者様はおられませんでしょうか~”みたいな車内放送がありまるでドラマみたいだな、と思っていました。結局静岡に緊急停車して救急車で運ばれたようです。

車椅子で運ばれる患者と付添の女性がホームを移動していくのを座席から確認できました。

そんなことがありつつも列車は予定通り新横浜に12時34分に到着。さすがJR。

地下鉄に乗り換え横浜へ。

13時半前に待ち合わせ場所で富山からの3人と無事落ち合えました。

ここから北陸勢4人京急線で“はまゲー”会場最寄駅へ。

会場は最寄駅から徒歩3分の近さというアクセスの良さにやや驚くなど。

到着したのが午後2時前で、ちょうど2時から全体ゲームをやるので、というタイミングでした。

運営の主催の方がしっかり仕切っておられ、参加する方としても安心できました。

それではプレイしたゲームについて簡単に。

全体ゲーム“デモクラシー”のあとまずはムーンの“栄光のピクトリア”。

“ぼろ儲けカンパニー”のムーン自身によるリメイク。

キツネはあった方がいいかな。

つづいて5歳の男の子を同伴された母子さんと一緒に5人でランドルフの名作“はげたかの餌食”。

さすがは名作、久しぶりのプレイ&5歳の子を交えてのセッションでしたが十分楽しめました。

この日のベストはこれかも。

そして“ドブル”。

分かりやすくて良質なデクスタリティで、こういう時には重宝するタイトルですなぁ。

こちらも真剣になって楽しみました。

クニツィアの“ペンギンパーティ”。

“さるやま”でなくこちらでプレイするのは実は初めて。

クニツィアジレンマに悶え苦しむ30分w

そして本日の目玉、“ルドフィール”。

ひとことでいえばビウィッチトからのフリーゼ&マイヤーによるボードゲームトリビア。

こんなお題カードの条件に見合うボードゲームのタイトルや出版社を言っていきます。

はっきり言ってフリークによるフリークのための…、というタイトルで、人は選びますが、まあそれなりに知識のある者同士で卓を囲めれば楽しめることは間違いないかとw

しかしこんなレアなタイトルがプレイできるとは…。これはまたやりたいなあ…(切実w)。

私が持ち込んだ“ダビデとゴリアテ”。

シュタウペによるトリックテイクの有名タイトル。

思いの外上手く事が運び3枚以上獲得するスートがなく圧勝しましたw

ツォッホからの新作“チェリーピッキング”。

10枚の手札を使い、いわば10回のバッティング勝負を行います。

ふむふむ、これはリプレイ欲求を刺激される妙味豊かな注目作かと。

また地元でプレイしてじっくりと感想を整理してみたいところ。

現在は海外からの取り寄せのみでしか入手できませんが、メビウスより間もなく国内流通が開始されるかも。

最後に“詠み人しらず”で〆。

これも有名なタイトルですが今回初プレイ。

なるほどこういうゲームでしたか。


終回までお邪魔させていただき、午後8時前に会場をあとにしました。

アフターにも誘っていただきましたが明日の事も考えるといささか慌ただしいため残念ながら今回はパスさせていただきました。

自分がゲーム会を主催していると参加者側から他のゲーム会に参加した際学べる部分が多いですね。

今回の経験も地元に戻ってから自分のゲーム会にフィードバックしていきたいものです。

この後北陸勢4人で東京駅構内ラーメンストリートで晩御飯。

“㐂蔵”の仙台牛タンねぎ塩ラーメン大盛。

あっさりとしたあつあつのスープとやわらかい牛タンが印象に残りました。



さてあけて1日。いよいよゲームマーケット当日です。

とはいえ慌ただしく会場を歩き回っていたせいで撮影できた写真は一点もないのでこちらも当日の動きをメモする程度に。

午前7時半にホテルロビーで待ち合わせ。

ソファに座って同行者を待つこの時になって初めて購入したゲームを入れる袋を自宅に忘れてきたことに気づきました。

さっと顔色が変わりましたがすぐにホテル1階のコンビニに飛び込み代用できそうな紙袋を購入。

サイズ的にはいささか役不足感は否めませんでしたがそうも言ってられません。やれやれ。

会場には8時前に到着。駐車場のゲートが8時に開いていざ会場へ。

待機列に並んだときには250~300人くらいいたのでしょうか。

今回は初めての屋外待機ということで予想最高気温30度のこの日の朝の直射日光はかなり厳しいものがありました。

汗ダラダラになって待ちつつ開場の10時前となりようやく会場へ。

この後14時に退場するまでの4時間はあっという間の出来事。

私は予約できなかったタイトルや中古をまずはまわり、一通り見終わった後で休憩した後に予約済みタイトルの回収という流れで動きました。

ゲームマーケットは相変わらず盛況で今回もすごい人でしたが会場がやや広くなったせいもあり混雑のためのストレスは希薄で、いまのイベントの規模からいってこの会場の広さが適当なキャパシティなのかな、と思われました。

まあしかしこの広さになると会場の端から端まで移動するのにもそれなりに労力はかかるわけで、計画的な移動も視野にいれた方が体力的にも効率はいいかもしれませんね。

午後2時に待ち合わせ場所に集合し、会場を後にしました。

購入した大量のゲームは例年通りゆうパックで送付したので帰りも軽装です。

4人で高速道路を北上、ひたすら日本海を目指します。

僕以外の3人の目的地富山に到着したのが午後7時すぎでした。運転していただいたMさん、(今回も)お疲れ様でした。

この後市内の“中華蕎麦はし本”にてまたラーメン。

ここで食べたチャーシューメンもどろっとしたスープとやわらかいチャーシューが麺と相性がよく記憶に残る美味しさでした。

この後はJR北陸本線で地元まで。

自宅に着いたのは午後10時半でした。

疲労感とともに充実感もあって長い一日がようやく終わったという感じでした。




翌月曜日はGM明け有給でした(笑)。

この日無事通称戦利品ゆうパックが届いたのでUDAのプレイテーブルに並べ写真に納めました。

撮影した全ての写真をこちらに公開します。ご覧のとおり大変な量となってます。

これでも売り切れや予算の都合等々で入手できなかったタイトルはあるんですけどね…。

いくつかコメントしたいものもあるのですがキリがないので今回は端折ります。また後日加筆する形で本記事に手を入れるかもしれません。(なお私のミスでサークル桜遊庵さんの“襲ノ色目”がここに入っていないことを付記しておきます。)

この“ラブレター”にカナイさんのサインが頂けたのが今回最大のハイライト。

2年前のゲームマーケットでひっそりと世に出された正真正銘初版の500円ゲームズ“ラブレター”で今回カナイさんから直々にお伺いしたところ30部のみの頒布で一部カードのイラストが異なるそうです。

当時浅草の会場で、開場ダッシュでカナイ製作所のブースに飛び込み本作を買い求めたことを今でもはっきりと覚えていることもあり、SDJ推薦作となった今年その現物にサインを頂けたことには何やら感動すら…。



そんなこんなの2日間でした。

お会いできた方にもお会いできなかった方にもお疲れ様の一言を。

またお会いできた際は何卒宜しくどうぞ。お会いできなかった方、次回は宜しくどうぞ。

UDA土曜ゲーム会('14/06/14)

$
0
0
毎月恒例の自宅ゲームスペース“UDA”でのゲーム会を今月も開催しました。

プレイできたタイトルについて簡単な感想などアップしておきます。

“江戸職人物語”(imagine GAMES/2014年)

先のゲームマーケット2014春で発表された話題作のひとつ。この日はこのタイトルから開始。

手番になったらダイスを2つ(あるいは1つ)振り、それぞれのダイスに4つのアクションから1つのアクションを割り当て、計2アクションを行います。

アクション毎に、出目が大きいものが適しているものもあれば、小さいものが適しているものもあり、ダイスロールの結果を待って、ああでもないこうでもないとアクション選択のジレンマに苛まれるという構図。

この2アクションをゲームが終わる最終第12ラウンドまで、1ラウンド1手番つまりは24アクション(厳密には第1ラウンドでは1アクションしかできないので23アクション)を各プレイヤーは行っていくことになります。

“火消力”や“喧嘩力”といったパラメータ、長屋毎にグループ分けされたエリアマジョリティ的な得点システム、職人カードによるセットコレクション、表通りを周回していくことで行える各種アクションなどなど、ゲームの要素は少なくなく、あれもこれもと手を伸ばす暇はないので、状況を鑑みた上での最も効率の良い各種マネジメントが要求されるフリーク向けの本格派。

これだけの豊富な諸要素がバランスよく統一されていて、それでいてトゥーマッチな印象を与えない環境作りにはこの作者の力量が見て取れるのですが、参加者各々から出た否定的意見が“火事の強さ”でした。

1ゲームを通して計3回発生する“火事”。発生する場所は2D6で決定されるランダム要素で、直撃した場合回避はほぼ不可能と思われる事から、そこはもう“運が悪かった”と諦めることも肝心なのかと。この部分をどう受け止めるかで本作に対する印象や評価が分かれてくるような気がします。

個人的には、そこは(本作の趣旨にあっていると思われる)フレーバーの魅力、テーマの再現性(江戸時代の火事の怖さ)を優先した結果だと思われ、それほどのネガティブな印象はありませんでしたが、一部ルールの粗さや全体的な削り込みからもっとスマートなユーロ寄りになり得た感じもあり、完成度は高いのですが、そちらの方が自分の好みということもあって印象はNegative+

とはいえアートワーク、コンポーネント関係は一見の価値のある(カードは全てユニーク!)、圧巻ともいえる大変クオリティの高いもので、頒布価格5000円が安いとすら思えてくる本格的な国産オリジナルボードゲームなんて今までどれほどあったでしょうか。

“ビッグ・デール”(ブレント・ベック/シュミット/2014年)

先日の初プレイからずっと気になっていたカードゲームの新作をリプレイするべく立卓。

上限4枚(4人プレイ時)という厳しい手札制限の中で、2枚のセットを作り、自分の場にプレイしていく、基本は実にシンプルなカードゲーム。

肝心なのは他プレイヤーのプレイした場札を、同種のカードをプレイすることで奪える可能性があるアクションがあること。このアクションが有意義に機能するセッションだったかどうかで本作に対する印象も随分変わってくるのではないか、というのが僕自身の見解です。

上記略奪アクションは攻撃側防御側が特定のカードをプレイし続ける我慢比べで、ここで意地を張って手持ちのカードを使い切っている間は初心者。1枚や2枚での勝敗の決定が頻発するような中級者以上同士でのセッションになると本作が単なる運ゲーから読み合いや駆引きの楽しめるインタラクション豊かな妙味あるタイトルへとステップアップするような、そんなタイトルのような気もしているのですが…。

評判の良い近作“アブルクセン”に通じる部分もありますが、より面白さの見えにくいタイトルではないかという思いも(そういう意味では上級者向け?)。現時点での評価はNegative+。ジワリジワリと迫ってくるような面白さが垣間見え、少なくとも前回のセッションよりは楽しめたのは間違いなかったです。

“ハンザ拡張変化の風”(ミヒャエル・シャハト/シュピーレ・アオス・ティンブクトゥ/2006年)

熊本のゲームショップ、ゲームフィールドさんから復刻されGM2014春より国内流通が開始された、シャハトの名作の拡張。

主な変更点はマップ上にて矢印で表されている航路の調整や矢印の向きに逆らった移動も可能になったこと(要コスト)、またゲーム終了時に特定の条件を満たすことで入る各種勝利点など。

元々のオリジナルもシャハト特有のキッパリとしたキレキレの鋭いタイトルでしたが、状況によってはある特定の限られたエリアをぐるぐると船が移動するということも起こり得ました。それが今回の拡張の導入で、新風が吹きこんだかのように、船が自由自在に移動するようになった、というのがまずは僕の第一印象。

シンプルながら完成されたタイトルの拡張は成功させる難易度も高い印象がありますが、今拡張はオリジナルの良さを助長するような微調整がバランスを崩すことなく上手く本作特有の妙味を後押ししていることに成功しているという印象で、評価はPositive-

オリジナルタイトルは、シャハトの細心の注意が行き届いた、実に細かい部分にまでデベロップに気配りがなされた繊細なユーロという印象で、ここに手を加えるというのは一種の冒険ともとれますが、1点2点の勝利点を睨んだシビアな競技性の向上はまさに僕好みのアレンジで、今後本作をプレイする際は拡張の導入を前提にしたいものです。

“Futures!”(ワンモアゲーム!/2014年)

前作“Welcome!”につづいて同人ゲームサークル“ワンモアゲーム!”がGM2014春にて発表した注目の第二作。

先物取引をテーマにした本格株式ゲーム。

ゲームは8ラウンド(4人プレイ時)。各ラウンドは大きく前半後半2つのフェイズで構成されており、前半では手札を1枚、場の任意の表向きのカードの上に裏向きでプレイし、パスも含めて3つ用意されたアクションから1つのアクションを実行します。後半は前半で最後手番だったプレイヤーから反時計周りに手番を実行(つまりカタンの初期配置ですね)。今度は場の任意の裏向きのカードを1枚表向け、前半同様アクションの三択を行います。

前半後半のそれぞれの終了時に場のカードの状況を相場に反映させます。またラウンドの終了直前に手札を1枚補充し、手札の中から1枚ドラフトします。

この手の相場変動を楽しむゲームは、各種数値のバランスが肝だと僕は思っているのですが、本作の場合、相場の1マス当たりの変動値からバーストが発生する上限下限の限界値、総ラウンド数、カードの枚数や内訳、手札枚数などが実にバランス良くまとめられているせいか、濃密で緊張感のある株売買が存分に楽しめました。

バーストと最大利益は紙一重で、その点のドキドキハラハラ感も本作の醍醐味。

ハンドマネジメントの妙味豊かな、潔く風通しの良い良質のピュアユーロというのが僕の見解で、ここまでフレーバーを排除しシステムに重きを置いたタイトルに好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ユーロ愛好者であれば悪い印象は持たれにくいのではないかと。

惜しむらくは弱い外箱と2枚のボード。頒布価格が上がってしまっても構わなかったので、しっかりとした外箱と二つ折りの1枚ボードがよかったという気も。まあその点を鑑みても評価はPositive-ですが。

一度のプレイでは本作の奥深さがどれくらいのものなのか見えていないので、プレイを重ねることでまだまだ評価は(本作の株価相場のように)変動しそうですが、この日のベストはコレ。

機能性とデザイン性が両立されている、すっきりとした各種レイアウトやアートワークのデザインがまた実に好印象だったことも忘れずに付言しておきます。

“漁火”(OKAZU brand/2014年)

コンスタントに良質な作品を発表し、既に海外からも高い評価を受けている日本のサークルのGM2014春の新作。

江戸時代の漁というあまり類を見ないテーマに、ユーロならではのアクションポイントシステムやリソースマネジメントが載せられた本格派。

僕のようなドイツゲームのプレイ経験豊かな者であれば馴染のある各々のメカニクスが上手くテーマに沿う形ではめ込まれており、安心してプレイに集中できる手堅い一作で印象は悪くない。

がそれゆえにオリジナリティや本作ならではの醍醐味は希薄ともとれ、奥深さに対する危惧や市場カードのめくり運の強さなどネガティブな面も。

経験を積み始めたドイツゲーム初心者がゲーマーズゲームの門戸を叩くのにお奨めできる一作という気もするけれど、まあすっかりフリークとなってしまった僕らのようなプレイヤーがゲーム棚に(必要以上に!)並べられた豊富なタイトルからこれを選ぶ理由は希薄というのが大きく、評価はNegative+

セッションは十分楽しめたのですが、この手の本格的なリソースマネジメント、アクションポイント制のゲームの、ドイツやその周辺諸国の平均水準の高さはそう簡単には追いつけない確固たるものがあるのでは、という思いも。(逆にワンアイデアを基にしたコンパクトなものなら国産の方が秀でている点も少なくないとも。)

“dois”(倦怠期/2014年)

こちらも実力派国産同人サークルのGM2014春の新作で、中身は本格的なトリックテイク。

特徴を大雑把にいえばスートとランクが分離されたビッド系マストフォロー。

このありそうでなかったスートとランクの分離というアイデアを聞いただけで、「こいつはマストバイだろ、コノヤロー」と予約した僕ですが、今回初めての実プレイで期待はやや裏切られたというのが正直な本音。

厳しいと感じたのは、ビッド系でありながら予想の的中に得点のウェイトがそれほど割かれておらず、ミゼールであれば単純に0点、獲得トリックが多ければ多いほど的中時の得点も高くなるというルールからはひたすらトリックの獲得を目指すのが前提にされているようで、これだとディールされた手札次第という運要素強めの側面もちらほら感じられたり…。

上手くスートとランクを組み合わせるという本作特有のプレイングでトリックの獲得に心血を注ぐという方針が狙いとしてあるのかもしれませんが、それが可能なのかどうかはまだ未知数。

この“スートランク分離”という素晴らしいアイデアを上手く違う方向で伸ばしていって、はっとするような本作ならではの面白さをクリエイトして欲しかったというのが本音としてありますが、まあしかしそれはそれで勿論ハードルは高いでしょうね。

今回の評価はNegativeですが自分の中でちょっと気になる点もあり、またアートワークが大変素晴らしい出来なので、ルールを読み込んでみてリプレイしてみたい欲求はあります。


このあと話題の“マスクメン”も立卓されたのですが、僕自身の疲れのせいかイマイチルールが飲込めず、消化不良感があったのでこのタイトルについてはまた後日再戦をまって感想を述べたいと思います。

まだまだ消化したいGM2014春の新作同人タイトルは少なくないのですが、まあマイペースでボチボチやっていけたらな、というところです。

この日も夜遅くまで参加していただいた諸氏に謝意を。また宜しくお願いしますね。

越前市(福井)ボードゲームの会 6月ゲーム会('14/06/29)

$
0
0
毎月恒例のオープンゲーム会、6月のゲーム会に主催として今回も参加してきました。プレイできたタイトルについて簡単に感想、雑感などをアップしておきます。

今回は時節柄ゲームマーケット2014春で入手した国産同人タイトルが多め。

“シンデレラが多すぎる”(大気圏内ゲームズ/2014年)

18枚のカード(言い換えると18人のシンデレラ候補)と各プレイヤーに支給されるOKとNOの2枚のマーカー、それにエクストラのマーカー1枚というたったそれだけのコンポーネントのみで構成された大気圏内ゲームズの通算4タイトル目。

4枚の手札から各人が2枚プレイ、追加で山札から1枚をプレイすることで場に並べられた合計9枚の場札から“シンデレラの条件”が排他的に決定されます。プレイヤーは残された2枚の手札から条件に見合うシンデレラを最後にプレイし、勝敗を決します。

シンプルなシステムゆえ10分で終わる1ゲームの中に、如何に場の流れをコントロールすればいいのか、あれでもないこれでもないといった感じで良質なジレンマがしっかりと盛り込まれており、終了時にはちゃんとゲームをプレイした満足感が齎されるあたりは流石。Positive-

フィラーゆえの小品感、運要素強めな点は否定できないけれど、切れよく完結しており、潔い。

淡泊で主張しすぎない味のある大人のアートワークがまたこのユーロでシンプルなゲーム内容ともよくマッチしていてその点の好感度も。

フィラーとして相当に優秀で、これは“ラブレター”に対する大気圏内ゲームズからの返答か。

“仮面の王”(遊星からのフリーキック/2014年)

開始時秘密裏に光、闇、炎の三陣営に分かれ、それぞれのプレイヤーがそれぞれの勝利条件を満たすことを目指します。

誰が味方で誰が敵なのか、ゲームが進むにつれ徐々に正体が明らかになっていく中で、場に並んだ領地を上手くマネジメントしていく手腕が問われる濃厚なタイトル。

プレイヤー数×6枚のカードと約40枚のコイン(別途準備する必要あり)という数少ないコンポーネントでここまでゲーム性豊かな一種の正体隠匿系をデザインできるあたりに本デザイナーのゲーム制作に対する理解の深さを感じずにはいられず、いまの日本でこのような豊かなオリジナリティを提供できる製作者がどれほどいるだろうか、と思ったり。

反面プレイヤーに求められる敷居の高さや全体を通しての冗長性、ゲーム開始にあたっての準備における未完成と思しき箇所、一部ルールの粗さには今回のバージョンがプロトタイプから一歩完成に近づいたベータバージョンゆえのものもあり、本バージョンでの評価はNegative+

しかしこのゲームならではのゾクゾクするようなゲーム性豊かな壮大なヴィジョンには期待せずにはいられないものがあり、今後のデベロップと完成を焦らずに待ちたいもの。

度重なるリプレイに耐えうる体力も持ち得ている予感。

それにしてもてらしまさんはテクストを用いたゲーム作りが上手いという印象。

“いしがき・れえす”(をしだや/2014年)

変形双六の国産同人新作。

ダイスを振るか振らないかという単純な二択からシンプルなジレンマを楽しむお手軽タイトル。

終盤まで誰が勝者になるか予想できない抜きつ抜かれつの締まった展開になるあたり、簡素ながら諸数値の設定に配慮がなされているせいかな、とか思ったり。

が小品が小品から抜き出せてはいないことも確かで(それはまったく悪い事ではないのですが)、僕のようなフリークがあえて本作を求める理由は希薄で、評価はNegative+

とはいえ“マイナス2”のマスが登場する裏面も一度はプレイしてみたいもの。けして悪くはない。

“襲ノ色目”(桜遊庵/2014年)

場札からカードを補充しつつ設定されている役を作り得点とするセットコレクション。役の達成は早い者勝ち。また手札は並び替えてはならないボーナンザ方式。

システムはシンプルかつ明快なユーロ。しっかりと構成された穴のないルールから安心してセットコレクションの醍醐味が味わえる快作。

役は基本的に枚数が多いほど高得点ながらそこは早い者勝ちなのでどこで達成を宣言するか、そこがまずは(良質な)ジレンマ。情報量はそれほど多くはないので、なんとなくでもいいので他者の取ったカードから大体の狙いは想定することが可能(そしてそこから役のバッティングを回避していきたい)で、おそらく作者もそういったプレイを念頭に置いてデザインしていたのではないかと。

良質でスタンダードな純和風テーマのセットコレクションでリプレイにも十分耐えうる体力もありそうだ。ここでゴチャゴチャと要素を増やさなかったのは正解。Positive-

和風で統一された各種コンポーネントとテーマの融和性も十分で、過去の作品も考慮するとこの和風テイストを前面に押し出してくる作風はここのサークルならではの持ち味であり魅力とも。アートワークのクオリティも高く、外箱も含めた全体の統一感からも拘りが見て取れる。

“想像と言葉”(米光と優秀なゲームデザイナーたち/2014年)

巾着袋からドローされた3枚のタイルの3つの単語からひとつ(親は特権でふたつ)言葉を連想していくワードゲーム。

連想した言葉を他者と共有できれば得点となるのでなるべくマジョリティの得られそうな言葉を解答したいところ。

シンプルなワードゲームでルールを読んだ時点での感触は悪くなかったのだけれど、実際にプレイしてみるとこれがなかなか柔軟な想像力が要求されるタイトルで、ゲームをプレイしている楽しみというより個人的な能力を試されているような一種圧力的な感覚が勝っていたのか、あまりゲームとして楽しめた感覚が得られなかったというのが正直なところ。Negative

この辺りの感覚はワードゲームで時々顔を出すようにも思える部分で、本作について言えば匙加減が自分にはハード過ぎたのかもしれない。着眼点は素晴らしいとも思っているんですが。

“GRUND”(青い街/2014年)

ドイツ語タイトルで地味ながら良質な作品を発表してきた実力派サークルのGM14春の新作。

親と子が1対1でシンプルながら奥深い心理戦を行うブラフ系。

低リスク低リターンの“忠誠”と高リスク高リターンの“反逆”と捉えることも可能な得点システムが秀逸で、このよくできたメインの骨子から豊饒な心理戦の妙味がたっぷりと味わえる、いぶし銀の秀作。Positive-

ディール次第では判断の幅が限定されることも少なくないが、それも含めて親に対する巧妙なブラフになり得る、というと考えすぎというか言いすぎかな。

リプレイ欲求を刺激する、本日の“もう一度やって確かめたいで賞”はこれか。

“アンリミテッド富豪”(ぽんこつファーム/2014年)

赤と黄色、そして何枚かのコインの追加で戦略性のアップした“大富豪”が楽しめる、一種の“大富豪”バリエーション。

当然ながら目新しさというかオリジナリティに乏しいという面はあるけれど、コインという一種のペナルティを背負うことでカードの数字をほぼ任意に変更できるというルールからシンプルな戦略性と良質なジレンマが生み出されており、もしテーブルゲームの中に“大富豪バリエーション”というサブジャンルがあれば本作はその中でもかなり上位にランクインしそうな完成度の高さはあるかと。

まあ僕は既視性の強さというか、ゼロからの創作ではないという点で辛くNegative+としますが、完成度は素晴らしいものがあり、多くの人にワンプレイを勧められる秀作。

“誰でもルールを知っている”というのは強力な土台で、それを有効な武器としたこういうアプローチの仕方もあるんだな、という思いも。

というわけで今度は“人生ゲーム”のドイツゲーム的バリエーションの登場が待たれますね(ないかw)。

“ドラコの山分け”(ガーデンゲームズ/2014年)

良質で質実剛健な作風のピュアユーロを発表してきた実力派サークルの新作。

極めて限定された色と数字、そして6枚の“呪い”カードのみで豊かなジレンマ、ゲーム性が生まれており、今までのガーデンゲームズタイトル同様こちらもも完成度の高い一作に仕上げてきたという印象。

ジリジリ、ヒリヒリとした得点中心の熱いせめぎ合いがセッションのメインになることを考えると、呪いカードの登場における運要素の高さが僕はやや気になった点としてあったけれど、まあこれくらいの方が胃に優しい(笑)のかもしれないw

数値バランスの設定や2枚ボーナスというアイデアなどが完成度に寄与していて、現代の卓上カードゲームの醍醐味がしっかりと堪能できる安心の一作。Positive-

アートワークに頼ることなく、ゲームルールやシステムの完成度のみで勝負してくるこういう作風は今の国内市場ではどうしても埋もれがちになってしまうのが残念でならないが、ユーロの魅力は何か、その好サンプルともとれる本作のプレイを僕はひろく勧めたい。こういうタイトルは“ゲームならではの面白さ”とは何かが分っていないと作れないのです。

“死神セクト”(さとーふぁみりあ/2014年)

遂に完成をみた“死神コイン”。

天使と悪魔の二陣営に分かれ、一種のブラインドビッディングで場のカードの獲得を目指します。

両陣営それぞれにプレイされたカードの数値の和を比較し、より大きい陣営がカードの獲得権利を得ますが、獲得できるのはその陣営で最も小さい数値のカードをプレイしたプレイヤーというアイデアが本作ならではの妙味を生み出している。

手札からどのカードをどの陣営にプレイするかがプレイヤーの判断となるのですが、コアなフリークといっていい僕のようなプレイヤーから見ると、その判断のための情報量が余りにも少なく、それゆえそれが競技性(そしてもっといえばゲーム性)の希薄さにもつながっているという印象はある。

ただむしろそれはデザイナーの意図していたところで、感覚的なプレイでもってそれほどガチな空気を演出せず、テーマやアートワークも含めたこの高い作品世界の魅力を楽しむカジュアルゲーマーのためのカジュアルゲームと捉えればその完成度は非常に高いものがあるかと。

エンボス加工された美しいカードに載る素晴らしいアートワークには惚れ惚れせずにはいられないというのが正直なところでアートワークやコンポーネントの魅力がゲーム本来の面白さを後押しすることを証明する好サンプルがここに。

トータルなプロダクツとしての完成度は同人の域を大きく抜きん出ているといっても過言ではなく、システムのみではノットフォーミー(といっても僕のようなすれっからしにとって、という意味ですがw)ながら所有欲を満たす数少ない同人タイトルの本作にPositive-を。

難癖も付けましたがリプレイバリューも十分ですね。



以上9タイトルのほか、“犯人は踊る新版”、“カプチーノ”、“ディクシット”の3タイトルもプレイできました。

“犯人は踊る新版”は4人と8人でプレイ。犯人や探偵と絡むことのないプレイヤーが少なくない8人プレイは本作にはややそぐわない人数かも。

コンポーネントが秀逸な“カプチーノ”も連続で結局2回プレイ。見た目は可愛いですが中身はガチな多人数アブ。普通に女性に負けましたw

定番中の定番“ディクシット”。何度やっても面白い。これがSDJに選ばれたのはヒットでしょう。



以上この日は12種ものゲームがプレイできました。何回か連続してプレイしたタイトルも少なくなく、非常に充実したゲーム会だったと思います。

参加していただいたみなさん、ありがとうございました。またの参加をお待ちしております。ではまた次回も宜しく。

UDA土曜ゲーム会('14/07/19)

$
0
0
19日土曜日に毎月恒例のクローズゲーム会、“UDA土曜会”を開催しました。

プレイできたタイトルについての雑感等をこちらにてアップしておきます。


“バコン”(アントワン・ボザ/アスモデ/2009年)

まずはボザの変形双六から。

六面体ダイス2つを振り、ひとつでタイルをひっくり返し、もうひとつでコマを進めるという分かりやすさ。で、止まったタイルの効果が適用されるという塩梅だ。

実はちょっとルールを間違えており、やたらと甘いバランスでのセッションとなってしまった(残念!)のだけれど、収束性の良さ、遺跡を進んでいく雰囲気等々軽いゲームながらしっかり完成しており流石はボザ。Neutral

個人ボードでリュックサックのスロットをやりくりしつつ、ステータスを管理するマネジメント感覚はやっぱり面白い。

“DTC”(ライナー・クニツィア/フェルティ/2012年)

荒っぽいのを承知で言えばクニツィア版“ファブフィブ”で、手札によるマネジメント成分を加味した感じ。

両者を比較した時にどちらに軍配を上げるかはまあ個人の好みに委ねられるのだろうけれど、僕自身は束縛よりもマネジメントによるプレイングの自由度がアップしているこちらの方が好みかもしれない。(“ファブフィブ”に対して抱いていた漠然とした不満点が良い方向に改善されているような感覚。)

僕にとってかなり理想的なブラフゲームであるフリーゼの“スプリングフィーバー”には一歩及ばないものの、完成度は高く、不思議な妙味も味わえる本作はワンプレイの価値あり。Positive-

同氏の“詐欺師”よりいいんじゃないかと思うんだけど国内流通はないまま終わるのかな。(パブリッシャー的に流通に乗りにくい?)

“ウィザード”(ケン・フィッシャー/アミーゴ/1986年)

トリックテイクの古典をこの日初プレイ。

ビッドしたトリック数を目指すオーヘル系。

ラウンド数=トリック数というのが特徴で、ラウンドが進むにつれ徐々にプレイされる総トリック数が増えていく。

トリックテイク自体はシンプルな切り札ありのマストフォローに少々の特殊カードという構成で、システム自体はシンプルなんだけど、まあ予想の的中は当然簡単にはいかず悶絶のセッションというある種お決まりの光景が広がるのは本作が良く出来ている証左でしょうね。

トリックテイクのクラシックとして今後も末永く其処此処の卓上に登る資格アリと見た。Positive-

“マハラジャ”(クラマー&キースリング/ファランクス/2004年)

クラマー&キースリングとファランクスという珍しいタッグ。もう何年振り?という感じの2度目のプレイ。

ネットワーク構築とエリアマジョリティ的陣取りの正統派ユーロだが運要素はゼロで、プレイヤーに求められる思考的難易度はけして低くはなく、不確かな未来を決定していくのはプレイヤー間のインタラクションのみ。

まあじりじりとした攻防の120分で(僕のファランクスのイメージに近い!)、硬派な男子ゲーマー御用達であることは確かか。クラキーはこんなにもがっちりとした競技性の高いゲームを10年も前に作っていたわけですね。Positive-

夜半にゲーマー同士が熱い盤上での頭脳戦を繰り広げるのに最適な一作。熱いぜ。

“フリンケピンケ”(ライナー・クニツィア/アミーゴ/1994年)

何度もリメイクされている御大の名作のひとつをオリジナルアミーゴ版で。

シンプルにして十分なジレンマが味わえる、個人的にはユーロの代表作的位置付けの一作。

どこで終止符を打つのか、じりじりとした終了のタイミングをめぐる駆引きには手札を持つ手も汗ばむほど。Positive

成長曲線というのか、ゲームの盛り上がりを折れ線グラフにした時にずっと右肩上がりのまま上昇していって最大値のまま終了の時を迎えるというイメージ。こういうのって珍しいという気もするのだけれど、そこが素晴らしいな、と。

あと可愛い動物コマがふんだんに用意されている“ボツワナ”も勿論悪くはないけれど、このオリジナルの唯一無二感は何物にも代えがたく、未所有者には羨望の眼差し。テーマなんかは全く無視されてますがw

“ティンダハン”(ペール・シルベスター/ニュー・ゲームズ・オーダー/2013年)

ママダユースケ氏の素晴らしいアートワークとともに日本語版化されたトリックテイクの隠れた名作“フィリピーノ・フルーツ・マーケット”。

最低4人は欲しいやや変わったシステムで、フルーツの“屋台”をめぐる一種のエリアマジョリティがトリックテイクと同時平行的に進行するのが特徴的。

オリジナルの高い完成度のシステム、ルールそのままに、脇を固めるのは美しいイラストが載るエンボス加工されたカードや各色の木製コマなどのコンポーネントで、全く死角のないプロダクトだなあ、と。

ニュー・ゲームズ・オーダーさんも渋い所に目を付けますね。Positive-。オススメ!

“エイジ・オブ・クラフト”(北条投了/芸無工房/2013年)

ダイス目セットコレクションに拡大再生産の要素を盛り込んだ国内同人の近作。

一度プレイしただけでは見えてない部分も多いに違いないけれど、デベロップに労力が割かれたことが忍ばれる各種バランスの良さは気持ちいいくらい。

やはりレーマンの名作“王への請願”が頭をよぎるけれど、あちらより腰を据えてしっかり地歩を固め一歩一歩進めていくマネジメントの妙味はゲーマーにはウケるだろうなあ。

角丸加工されていないカードなどコンポーネントの安っぽさは否定できないけれど、“寒村”のブースト的アイデア等々印象的な仕掛けも少なくなく、システム本体がこれだけの完成度であれば今後発表されていくことが予想される各種拡張も追いかけていきたいと思わせる。Positive-

交渉が収束にブレーキをかけそうな気がしたので、今回は自分提案のハウスルールを採用させていただきました。(まあでも最初から交渉まではあまり思考が回りませんでしたねw)

“グレイハウンズ”(ベルント・ブルンホファー/ハンス・イム・グリュック/1985年)

この日のレガシー枠、というわけでもないのですが(笑)80年代半ばのハンス社長の一作。

ドッグレースにビッドして所持金の多さを競うもの。

流石に古臭さは否めませんが、どの犬(当然自分以外のプレイヤーの犬にも賭けれる)にビッドするのか、そして手札のプレイが順番になっていることから他プレイヤーの動向を確認してから意志を決定できることからマネジメントの妙味が生まれており、びっくりするくらい今のユーロと線が結べることに驚かされるなど。流石はハンス社を起ち上げられた方だけのことはあるなあ、と思えたのは大きな収穫。

存在感充分の木製の犬コマも素晴らしく、流石はドイツと思わせる。

単純にレースにビッドする面白さだけでも十分確立されており評価はPositive-か。

しかしこんなハンスのロゴを目にしたのは初めてだったので思わずパチリ。本パブリッシャー最初期のものでしょうか。ハンスのロゴも様々な変遷を辿っているようで、このあたりも非常に興味のあるところ。

“すき間にいれて”(シュテファン・ベンドルフ/NSV/2013年)

なんてことはないシンプルそのもののメカニクスなんだけど、それゆえ飽きずに何度もプレイしたくなるような、ちょっと文学でいうところの90年代米国ミニマリズムにも通じるような、そんな感覚もある爽やかでさっぱりとした一陣の涼風的カードゲーム。Positive-

作者のベンドルフはあの“クウィックス”のデザイナーで、こういう作風を確立しつつあるのは今後の彼の武器となり得るのではないか。

NSVはテン年代のベルリナーというのが自分の持論(異論は認めますw)。

“カツカレー喰ってる場合か!?”(北条投了/芸無工房/2013年)

さっぱりとしたアートワークも印象的な国産同人の近作。タイトルからも分かる通り時事ネタで作者は北条投了氏。とはいえ単なる時事ネタゲーには終わっていない、光るアイデアが印象に残ったタイトルでした。

最高値でなければならない、しかし高すぎてもならないという特徴的な本作特有のメカニクスは、シンプルにして良いジレンマを生み出していて、例えばクニツィアなんかがこんな感じのシステムを載せた新作をある日突然発表したとしても違和感はないだろうな、と。

もう少し肉付けしてボリュームがあれば更に良かったかなー、とも思う反面単なる蛇足にもなりそうで、この辺判断が難しい。Neutral

“スカルキング”(ブレント・ベック/シュミット/2013年)

話題のトリックテイク新作で、まあ本作を立卓したいがために“ウィザード”もプレイしておこうというのがこの日の主旨のひとつで。

ビッド系。4スートのマストフォロー、切り札はスートのひとつ黒で固定という基本はシンプルなもの。

切り札よりも強いいわゆるスーパートランプがいくつかあって、それらが三すくみになっているというのが大きな特徴のひとつ。“ウィザード”にくらべると基本4スートのカードに比して特殊カードの割合が多く、トリックの展開が読みにくいというか波乱万丈性とでも呼べそうな、成り行きのいい意味での出鱈目さが、カラフルなアートワークやにぎやかなテーマとのマッチングもよく、バラエティ豊かなトリックテイクとして成功しているという印象。Positive-

いやはや楽しめました。ミゼール予想ラウンドは否が応でも盛り上がりますねw



プレイしたゲームは以上です。ではまた来月!

UDA土曜ゲーム会('14/08/09)

$
0
0
毎月恒例のUDAゲーム会のレポートです。

8月分も無事開催できたのでプレイできたタイトルについて簡単に感想などをアップしておきます。

“ブゾク”(大山武/ツクルカ/2014年)

珍しい2対2のペア戦による一種の陣取り型カードゲーム。

手番はチーム単位で、2人がそれぞれ1枚計2枚のカードをプレイすることで終了。

チーム内で話し合えるのはそれぞれが裏向きでカードを決定した後で“どちらが先にプレイするか”のみ。

場の状況から“最も理想的なカードプレイの形”がまあ大体は想像できるので、後はその理想型を実現すべくうまく意思疎通しつつ実行していけばいいわけですが、手札が3枚ということもあり、その制限や兼ね合いもあってそうそう上手くはいかないというのが現実。

複雑すぎないシンプルなシステムがこの2対2というままならない構造とバランス良く同居しており印象は上々。手札交換のコストに先行後行のチームで差が設けられている点も上手い調整ではないかと。Positive-

テーマに則った雰囲気のあるアートワークがまた素晴らしいですね。

“カピトール”(アラン・ムーン&アーロン・ワイスブルム/シュミット/2001年)

古代ローマ、9つの地区をめぐる熱い陣取り。

1枚のカードに“プレイできるアクションの種類”と“競りの時のお金”2つの情報が併存しているのが特徴のひとつ。まずはそこをふまえたハンドマネジメントを意識することが必要。

建設できる建物も“屋根”と“高さ”ふたつの点で制限が設けてあり、各プレイヤーの手元にてコツコツと建設された建物は建て直し/リセットできないので、この点においても細心の注意が必要。

入手できたカードと場の状況、そして各プレイヤーの手元にて建設されている建物の情報をもとに、総合的に最善と思われる判断を下していくことが必要なピュアユーロで、シンプルながら奥深い読み合いにセッションが白熱する競技性も十分な、そして古さを感じさせないムーン&ヴァイスブルムの傑作。Positive

カラフルな屋根が立ち並ぶ牧歌的な盤上の情景はドイツゲームの良心そのものの具現か。

“ブループリント”(イヴ・トゥーリニ/ズィーマン/2013年)

発売されたばかりの日本語版にて立卓。

場の7つ(4人プレイ時)のダイスからひとつを選択し、衝立に隠された各プレイヤーの青写真に載せ、建物を建築していきます。

各自に6つのダイスが供給されたら衝立を開放して公開し、建物に与えられる“評価点”から相対的に勝利点を獲得していくというシステム。

4種類のダイスそれぞれに加点できる決まりがあったり、ダイスの組合せに応じては特別に勝利点が与えられたりするので、得点のための道筋に十分な選択肢が用意されており、この辺りは全体的にシンプルなゲームながらしっかりと戦略的で、経験豊富なフリークにも受け入れられそう。

シンプルで収束性も十分ながらしっかりとボリュームもあって評価はPositive-

付属の巾着袋が大きくなったのは良い改良点ながら結局はやや小さく依然として役不足なのには微妙感を払拭できませんねw

“火種”(ミヒャエル・キースリング/1×1/1995年)

古いキースリング単独作ということで物珍しさも手伝って興味を持ちつつセッションに臨んだのですが、BGGにアップされている英訳ルールに少々不備があったのか、この日はルール運用が十分ではなく、残念ながら結果的に本作を堪能できずに終わってしまいました。

囚人たちがロケットで太陽に飛び込んでいくというぶっ飛んだ設定(アートワークもバカゲーっぽい)の、一種の変型レースゲームともとれるユーロ。

どうやらコツコツとコースレイアウトを構築し、ここぞという瞬間でダッシュするような感じのゲームのようで、正規ルールでプレイできればそこそこ面白そうなので再戦希望。

まあゲームではなくセッションの印象でいえばNegativeかな。

“サラマンカ”(シュテファン・ドラ/ツォッホ/2006年)

ドラによるタイル配置を利用した本格陣取り。

同色の正方形タイルによるエリアの形成は、なるほど名作“アクワイア”が引っ張り出されるのにも納得。

“災害”による足の引っ張り合いが少々厳しい印象で、重苦しい空気がセッションを支配する重厚なユーロというのが率直な印象。この胃に来るようなヘヴィネスは人を選ぶような気も。

ゲームとしては破綻なくしっかりと完成されているので勿論悪くはないのだけれどあえて本作を棚から引っ張り出す理由は希薄か。Neutral+

ドラともツォッホとも思えない、フリークがどっしりと腰を据えて参加する骨太なタイトル。

“バトルシープ”(フランセスコ・ロッタ/ブルーオレンジ/2013年)

シンプルなルールの多人数アブストラクト。陣取り。

おちゃらけたアートワークからは想像できない、ちょっとした判断ミスが敗着になりかねないきっぱりとした厳しさが魅力で、とはいえ自分の実力ゆえのものと納得できるので不満は残らず、むしろその収束性の良さもあって再戦意欲に繋がるナイスゲーム。

シンプルなルールゆえ整理しやすい盤面の情報量からキングメーカー問題、お仕事問題等々との直面は避けられないという一面は確かにある。がプレイヤー同士の攻撃関係(やった/やられた)が如実というか見えやすいのは本タイトルの長所でもあろうかと。

これを待っていたと言わんばかりの快心作の登場。Positive

“dois”(新澤大樹/倦怠期/2014年)

国産トリックテイクの新作を再び立卓。

スートとランクが分離されているという目から鱗が落ちるような斬新なシステムと厳格なマストフォロー、そして獲得トリックを予想するビッド系の幸福な出会い。

前回はビッド系ながらミゼール0点にちょっと固執したせいもあったのか、あまりぱっとした印象がなかったのですが、それじゃあがんがんトリックを取りにいけばいいわけだとばかりにポジティブにプレイの方針を変更したのが良かったのか、今回は滅法楽しめました(しかしトリックの行方が全く読めず勝敗に関しては惨敗もいいところでしたが…w)。

ミゼール成功時の報酬はあった方がいいという考えは変わりませんが、完成度競技性共に高い良質なトリックテイクではないかと評価は上方修正。Positive-

“サクランボ狩り”(ジェロエン・ギーネン/ツォッホ/2014年)

美しいイラストのアートワークも印象深いツォッホからのバッティングカードゲーム。

プレイされたカードの種類により処理を段階的に順番に行っていくのが特徴的。

制限された厳しい状況下でのハンドマネジメントはままならなさそのもので、可愛らしい雰囲気とは裏腹に、セッションにおける選択のジレンマに爽快感はほとんどなく、すっぱりと諦めて流れに身を任せる潔さも時には必要かも。

得点計算も含めて全体的にちょっと込み入ってる印象もあるけれど、上手く纏めてあり、システムの完成度は悪くない。がまあ心に響いてくるアピールも強くはなくNeutral+。やや複雑な処理が僕には評価のマイナス補正になっている感あり。

“ナイトクラン”(Y.Ohashi/風栄社/2014年)

ハンドマネジメントによる一種の正体隠匿、アクションプロット、エリアマジョリティ等々の諸要素からなる国産同人。

ハンスの“陰謀”のようにカード列に手札を次々にプレイしていく感じ。

決算で全てのカードが公開され加点処理される。

シンプルな読み合い、推理が高い収束性との相性も良く、悪くない。が前の“サクランボ狩り”同様、個人的な訴求力は今一つか。Negative+

緑と黄色の識別にやや難があるようにも思えましたが、萌え一歩手前ギリギリで踏み止まった美しく耽美的なアートワークは素晴らしくも美しく、雰囲気の構築に大きく貢献できているかと。


以上この日は軽めのタイトルが多かったせいもありがっつりと9タイトルを消化しました。ではまた来月!

2014年夏季富山ゲーム会遠征記(&ysk氏宅ボードゲーム棚公開)('14/08/12,13)

$
0
0
夏季休暇を利用して二日間にわたり北陸は富山県内各所のゲーム会にお邪魔してきました。

2日間でプレイできたタイトルについて簡単に感想をアップしておきます。


まずは1日目、“なべ”さんが主催をなされている、今年で創立8周年を迎える北陸では老舗のオープンゲームサークル“魚津ボードゲームクラブ”の平日ゲーム会に参加させていただきました。平日の午後6時半からの開催ながらこの日は7人の参加者で終始2卓立っていました。なお“魚津ボードゲームクラブ”のウェブサイトはこちらです。→http://ubc2006.at.webry.info/

“襲ノ色目”(桜遊庵/2014年)

オーソドックスで本格的なセットコレクションカードゲーム。国産同人。

手番では必ず3枚(3人プレイ時)の中から1枚を補充かつ手札の並び替えはできない“ボーナンザ式”という制約が実に特徴的で、必然的に場札の並びから将来の入手カードの予測も視野に入れたマネジメントが要求されます。

役の完成による得点の獲得は早い者勝ちで、すべての役において得点が保証されているわけではない点が第2の特徴。

この2本の柱を軸にした本格的なセットコレクションが楽しめる秀作。コツコツと小銭を稼ぐか、リスクを背負って大金の入手を目論むか、すべてはプレイヤーの判断に任されます。

すっきりとした和風のアートワークがまたセンスの良さを感じさせ、全体的な完成度の高さはかなりのもの。Positive

勝敗の行方がインタラクションに左右されるウェイトはやや大きいとも思われ、その点を許容できるかで印象も変わってくるかも。

“グラナダ”(ディルク・ヘン/クイーン/2009年)

ヘン自身によるSDJ受賞作“アルハンブラ”のリメイク。

4種の通貨が存在し、お釣りなしでタイルを購入できた場合ボーナスとして1アクションが貰えるというオリジナルの特徴的なメカニクスはそのまま継承しつつ、手が入ったのは得点の計算方法で、1位がそのタイルの全プレイ枚数、2位が1位の枚数、3位が…、というもの。

これにより少ない投資でも大量の得点を獲得することも場合によっては可能となっており、戦略性にやや重きを置いた調整はゲーマー向けのリメイクが成されたと見ることも可能か。

欲を言えばどのプレイヤーがどのタイルを何枚プレイしているのか一目で分かる表のようなものが欲しかったところ。美しいイラストが施されたメインボードは確かに素晴らしいが、折れ曲がったクラマーフレーム等々贅沢なレイアウトは一考する余地はなかったものかと苦言もw

まあそういう不満もゲームとしての出来が十分ゆえのもので、評価はPositive-

個人的には収束性にやや不満も。もう少し早く終われると更に良かったか。


以上2ゲームにて魚津を後にしました。

富山市内のホテルに午後10時半頃チェックインし、翌日のゲーム会に備えて早めの就寝へ。


明けて翌13日は遠方へのゲーム会へも精力的に参加されていらっしゃるysk氏の自宅ゲーム会“北陸本線沿線ゲーム会”へと今回初参加してきました。ysk氏は自身でも魅力的なオープンゲーム会をいくつか主催されており、特に北陸在中のボードゲーム愛好者であれば既にお世話になられた方もいらっしゃれば、今後お世話になられるであろう方もいらっしゃるかもしれませんね。何はともあれ北陸のボードゲーマーは要注目でしょう。告知がなされるブログはこちらです。→http://mmysk.hatenablog.com/

“コロニアリズム”(スコット・W・リーブラット/シュピールワークス/2013年)

帝国主義の時代を背景にした世界規模での陣取りゲームの最新作。

シンプルな5つのアクションとハンドマネジメントがメインとなるメカニクスで、カードにテキストこそあれ、全体的には比較的見通しの良いもの。

カードの効果についても納得できないようなバランスの悪いものはなく、また戦争の処理についても直接的な殴り合いの感覚は希薄で、比較的コツコツと地歩を固めていくようなマネジメントの妙味も。とはいえ戦力を表す手持ちのディスク枚数が絶妙の量で、ここぞという時に足りなくなることもあるので、その点には要注意。

勝利点となる植民地からのリソースの搾取については原住民勢力の存在もあって、ここでは他プレイヤーとのちょっとした協力関係のような感覚もあり、マルチ特有の殴り合いのギスギスした空気よりはマネジメント重視のクレバーな雰囲気が個人的にはプラス補正。Neutral+

この手の植民地帝国主義をテーマにしたタイトルは“ディプロマシー”に端を発するのでしょうかね。その辺りに興味を持ったものでBGGでフリークがリストにしていないかと当たってみたのですがその時は見つからず残念でした。(でも多分ありそうな気はするw)

“スチーム”(マーティン・ワレス/ファランクス/2009年)

ワレス自身による“蒸気の時代”のリメイクとも取れますが、個人的には同作品と氏の鉄道ゲームを代表する双璧をなす一作、片割れと取りたいところ。

運要素のない重厚な本格鉄道ゲームながらルール自体が割と素直なせいか、存外プレイアビリティは高く、こちらの予想に反して、ルールの運用に関してプレイヤーに対してかかる負担の少なさがまずは好印象。

ただマネジメントに関しては“緻密”そのものが要求されるため、勝つためには繊細な注意力と時には大胆な決断も必要で、キリキリとした競技性の高さには他の追随を許さないような、本作特有の感覚さえ。

単独で採算性の高い路線を建設し利益を独占するか、広く他者と絡み手広く利益を得ていくのか、プレイヤーに委ねられた豊富な方針の取り様もまた魅力的で、切れ味の鋭いワレスならではのデザインの手腕をたっぷりと味わえる至高の一作かと。Positive+

くどいようですが競技性は抜群に高いので初心者が経験豊富なプレイヤーに勝つのは難しいかもしれません。まあ最初は胸を借りるつもりでシステムやゲームの勝ち筋を理解するつもりで臨んでみてはいかがでしょうか。初回プレイで上級者にぺしぺしにされて悪いイメージだけが残り、本作に見向きもしなくなってしまうのは全くもって勿体ないですよ。

“ボブズ・ハット”(アラン・ムーン/アバクス/2001年)

お手軽なビッド系マストフォロートリックテイク。

ビッド系ながら厳密な数値での予想ではなく、あくまでも相対的なものであること、また一部のカードを獲得した場合プラスマイナス10点が発生することなどから、あくまでもプレイフィールは軽いのが特徴的。

一般的なカードゲームから本格的なトリックテイクへの橋渡し的な役割も担ってくれそうなポジションに位置するというのが僕の解釈で、これはこれで悪くはないかと。Neutral+

このプレイアビリティの高さは僕のムーンに対する印象とピタリ一致する。


以上重量級2タイトルが長いセッションとなったため3タイトルにてこの日のクローズ会は終了となりました。

ゲーム会終了後大量のボードゲームが所狭しと立ち並ぶyskさんのゲーム棚の撮影会となり(といってもカメラを手にしていたのは私だけでしたがw)、大量の写真をデジカメに納めさせていただきました。yskさんご本人にこちらのブログ記事での公開を快諾して頂けたので、簡単なコメントも付けつつ、ここにアップさせて頂きます。

納まりきれていませんがメインストリート(笑)的なもの。棚はこの5架に加え、写真に写っていない背後のスチール棚が1架、そして本来布団を敷いてベッドとするところにもゲームが居座っていたので実質的には6架分の量と言えるでしょうか。

では部分ごとに拡大して見ていきましょう。

唯一のスチール棚最上段。“ボトルインプ”は何語版?アバクスの“でっかい馬鈴薯”。

クニツィア“グランドナショナルダービー”ほか“ブレイキングアウェイ”、“ガーデン”、“じゅうたん商人”などレアもの多数。背後に見えるKNDは“バヌアツ”?

モスキートの“みんなで決めたこと”など。黒いエッガートは“ドルメンの神々”かと。最左のクイーンはなんだろう。

スチール棚最下段。ヘキサゲームズ“マネージャー”やクラマーの初版“フォーラムロマナム”が眩しい。左上の木箱は“オールドタウン”。最左の青っぽい箱が分らない。

メインストリート5架の一番左から。一際大きな箱、ハバ“クロンダイク”は私も未所持。

プチプチに包まれたままの“ルドフィール”。下段の黒い袋“スクエアオンセール”に垂涎。

“栄光ある演習”、“モダンアート”ハンス初版など。

メンスト2架目。アバクス薄箱シリーズや“ヒマラヤ”など。おや、ここにも“ルドフィール”が!

“キューバ拡張”、“シュリレシュテレ”など。“ワズバラズ”も。

最下段には“アベカエサル”、“ダイアモンド”、“さまよえるオランダ人”など古いタイトルが並ぶ。

メンスト3架目。温度湿度計はある意味ゲーム倉庫の必需品か。ピンクのピアトニクが分らない。“フェスティバル”がありますね。

クニツィア“ウィナーズサークル”とシャハト3部作のうち2タイトル。のこり1つは持ってないのかな?
“MIL”は僕も積みっぱの一作。

“ポートロワイヤル”、“フォードラゴンズ(邦題は“死者の日”?)”などトリテの名作が羨ましい。白い箱はハンマーワークス“ほんの気持ちです”。黄色い薄箱はあのアブストラクト双六かな?

“サンジミニャーノ”、クニツィアデビュー作の説がある“ゴールドラッシュ”、ローゼンベルクのトリテ“シュナッペンヤークト”など。

4架目最上段へ。“べーゼンシュピール”、“空中庭園”など。黒いのは“手本引き”か?

“王への請願”、リュイメーム版“メディチ”が眩しい。

“皇帝の影”は何語版だろう。その右2つが不明。日本人による変則的トリックテイク“落水邸物語”は“ミスボド”など東京のゲーム会でも何度か立卓したもの。

“ロストヴァレー”、ブルクハルト“命中”、ゴルトジーバー版“ウントチュース!”など。中央上部の黒い箱は“プレステル鼻のゲーム”?

キーシリーズ4作。シャハト“ジャンク”など。

メンストの最右棚最上段。横置きされているブック型はdbシュピールのヘンの何かでは。流石にこれだけじゃ分からないw

シャハト“ドライブ”。その下はトリテ“勝利と名誉”って邦題だったかな。これもレアですね。

“サンタフェ”や“フリンケピンケ”はプレミアもの。

イスタリのラインナップ。最左はなんだったっけ?

フリーゼの2F緑箱が並ぶ。ここに“サンチアゴ”が。ハンス版“メディナ”も。

そしてベッド部分。モスキート版“アラカルト”など新旧が入り乱れる中に入手難タイトルが無造作に並べられる。

“ファストフードフランチャイズ”、“アムステルダムの商人”、“ブラックロック城”その他こちらもレアもの多数。

“エレクションX”、“ブラックヴィエナ”、スプロッタ“アンティクイティ”。ピアトニク版クニツィア“古代ローマの新しいゲーム”も上部にチラリ。

ゴルトジーバーラインナップが並ぶ。“マックマルチ”など。

以上駆け足で紹介させて頂きました。新旧定番からレアなものまでが混然一体となった、こだわりのラインナップが一望できる垂涎のゲームラックでした。こういうゲーム棚を目の当りにするとこちらも大いに刺激を受けるんですよね。


こんな感じで富山を後に。お世話になった多くの皆さんに謝意を。ありがとうございました!

越前市(福井)ボードゲームの会 8月ゲーム会('14/08/24)

$
0
0
“北陸ボードゲームフリーマーケット”参加のため約2か月ぶりの開催となった、私が主催を務める地元オープンゲーム会のレポートです。

例によってプレイできたタイトルについて簡単な感想をアップしておきます。

まずはこの日持ち込まれたゲーム等々を写真にてご紹介。

最新の話題作から定番、レアな旧作まで幅広く持ち込まれていました。なかなかお目にかかれない栃木限定のカントリーマアムが侮れない美味しさでした。

それでは以下プレイしたゲームの感想など。

“おっとっとラマ”(ロベルト・フラガ/ゴルトジーバー/2003年)

巾着袋から引いたディスクの枚数に応じてラマを進めていく一種の変型双六。

僕にとってフラガは言ってしまうとまあ総じてノットフォーミー傾向なんですが、この可愛らしさ、小気味よさは“ならでは”のものがあり、はっきりとこのデザイナーならではのカラーになっているなあ、と。

こういう他のデザイナーにはない一貫した特色を打ち出せることが固定ファンの獲得につながっているような気もしました。

なんていうことはないタイトルですが、全くもって憎めない魅力を湛えた小品で、木製の可愛らしいラマ駒はドイツゲームの魅力の一端を端的に表しているような気さえ。Neutral+

“コンセプト”(アラン・リヴォレ&ゲァィトン・ボウジャノ/レポスプロダクション/2013年)

今年度のドイツ年間ゲーム大賞を“キャメルアップ”、“宝石の煌き”と争った話題のコミュニケーションゲームを初プレイ。

お題が与えられ、それに対するヒントを提示することで答を導きます。

すっぱりと出題者の意図を汲み取り、正解できたときの快感が最大の魅力で、また同時に出題者にも満足感が得られる感覚があって、この“相互に糸が繋がった”瞬間を求めて延々とプレイしたくなるようなゲームという印象。

とはいえこのアイコンを使ったヒントの提示にはやや敷居の高さを感じるものもあり、“ディクシット”が大賞を獲れたのに対し本作は逃してしまった理由もなんとなく分かった気もしました。

サブコンセプトというやや重層的なアイデアが採用されていることもあって実はややフリーク向けの側面もあるのではないかというのが僕の印象。とはいえ白を基調にしたアートワークともどもこれまでにない新鮮な面白さは十分かと。Positive-

“ヘキセンレンネン”(ヴォルフガング・パニング/クイーン/2001年)

パニングによる変型双六。

止まったマスの効果により、駒が連鎖的に連続して動いていくダイナミズムの魅力。

手札を使うことで駒の動きをマネジメントする面白さもよく出来ているけれど、セットアップにてランダムに配置されたタイルの位置関係次第でプレイヤー間に生じる有利不利の差が小さくないような印象が今回のセッションでは感じられて、まあつまりは競技性云々よりもゆるく和気藹々と家族で楽しむためのファミリーゲームなんだろうな、と。

裏向きのタイルを表向ける瞬間は単純に楽しく、これもユーロの快感ではないかと。Neutral+

敷居は低いですし、是非また再戦したい一作。

“バサリ”(ラインハルト・シュタウペ/FXシュミット/1998年)

往年の名作をようやく入手できたFXシュミット版で。

ドイツゲーム史に残るバッティング・ファミリー・ストラテジの名作。

他人との思考回路をずらすことで意図的にバッティングを避けようとしているにも関わらず、被る時はとことん被るもんだから人間の思考回路なんて単純なものですねw

自分以外の3人がバッティングして自分だけが悠々とアクションできるときの快感だけは何物にも代えがたいものがあります。

言葉を使わない交渉は秀逸なシステムで、またそこには同時にフリークがじっくりと考えたくなる戦略的な深みも含められているのだから侮れない。Positive

僕はリメイクの“宝石商”よりシンプルに完成された本作が好き。

“ヴァンパイア・レーダー”(金子裕司/かぼへる/2014年)

名作“スコットランドヤード”の系譜につながる国産の意欲作。

6×6計36枚のタイルの上、限定された空間で行われる緻密な推理、頭脳戦の快楽。

自分がヴァンパイアとなり2戦プレイしたのだけれどいずれも敗退。4人プレイということもあったせいか、ややヴァンパイア側が厳しいバランスのようにも思えたけれど、手に汗を握る白熱する攻防が十分に楽しめ、セッションは締まったものに。

ピクセルアートで統一されたアートワークがまた魅力的で、これまたリプレイ欲求の強い一作。Positive-

そういえば運要素はゼロだけど、まあそりゃそうかw


その他“バトルシープ”、“バラバラ”、“襲ノ色目”、“はじめての人狼”など軽めのタイトルを中心にプレイしました。


総参加者数は19人(初参加者6名、女性2名)で、5卓が立つ賑わいでした。この日の別卓の様子を写真にて紹介いたします。

国産同人“六花の花”。まだ開始したばかりの様子。

定番“カタンの開拓者”。

フェルドカッターの“モンテゴベイ”。

凝った自動車コマが目を惹く“アヴァンティ”。


他には古いアバロンヒル版“アクワイア”、クニツィア“交易王”“ポイズン”、大人数での“お邪魔もの”、などなど多数のタイトルが立卓していました。


足を運んで頂いた参加者のみなさんお疲れ様でした。またのお越しをお待ちしております。

BGGストア購入物報告('14/08/27)

$
0
0
ちょくちょくお世話になっているBGGストア。

先日発注したものが本日到着したのでこちらにて紹介させていただきます。

到着した大型の白い封筒がこちら。ウェブサイトでの発注から一週間ほどでこうして簡単に手元に届くのですから便利なものです。


まずはフェルトの新作“アメリゴ”のミニ拡張3種。以前より欲しかったこちらのアイテムがこの度購入できるようになったことから今回のストアへの一連の発注となりました。


ヴァッカリーノのSDJ受賞作“キングダム・ビルダー”の拡張タイル。“キングダム・ビルダー”も大小様々な拡張が発表されてますね。


“アウグストゥス”のプロモカード。このカードの導入で良い方向への若干のルールの修正が成される模様。使い方の和訳ルールもウェブ上に公開されていました。(まあ、ぶっちゃけこのカードがなくても可能なんですがw)

Hansa Teutonica:Score Sheet

あると便利な“ハンザテウトニカ”のスコアシート。勝手にスコアパッド状のものを想像していただけに厚紙1枚ものだと知ってやや残念。

しかし裏面は同パブリッシャーのトリックテイク“サンタティメア”のスコアシートになっておりお得感も。


ボザの“東海道”の新キャラ、“エリク”。能力を理解して導入してみたいものです。


“プラエトル”のプロモパック。(まだ本体も持っていないんですがねw)


以上全8点、これで送料込6000円代の買い物でした。

BGGストアは手軽で便利なので今後もお世話になりそうです。

シュリンクを斬る!㊲ “ネヘミヤ(Nehemiah)”の巻

$
0
0
久しぶりの本企画、今回は国内流通の始まった新作タイトルの紹介です。


こちらがゲーム本体。正方形ですがコスモス大箱よりも一回り小さいサイズ。

背面です。お馴染みのように和訳ルールが貼付されています。

まずはこのルールブックを取り外します。

ビーッとセロハンテープを剥がします。

はい、剥がしました。

それでは本体シュリンクに刃を入れます。

ズブズブ…。

切れ目からシュリンクを剥がしていきます。ばりばり…。

表にまわりこちらもばりばり。

シュリンクを剥がしました。

パブリッシャー“LEONARDO GAMES”のロゴ。この人型のシルエットはボックスアートのその人そのものですね。

仕様です。60分、2~4人用、10歳以上とのこと。

ボックス背面。

英語とポーランド語二か国語での表記が確認できます。

作者ルーカス・ウォズニアク(と読めばいいのかな?)とアートワーク担当のウルスラ・ミハルスカ(こちらもカタカナ表記は不明ですがw)のクレジットが。下の注意書きはポーランド語なのでしょう、全く読めませんが何が書いてあるのかはちょっと気になるところ。

プレイ中のコンポーネントのイメージイラストですね。

さてでは箱を開けます。ぐぐぐ…。

ぱかっ!

ルールブックです。

英語表記もあるので一応安心。

多数のカードが登場するゲームですね。効果はほとんどが無理なくアイコン化されており複雑な印象はほとんどありません。

つづいてパンチングシート。この2枚。

すべて打ち抜きました。抜きやすさはA(良い)~E(悪い)の五段階評価でC(普通)といった感じ。

勝利点トークン。1、3、5、10の四種類があります。

お金と選択ルールで使うトークン。右下のおじさんトークンがなんと使用用途不明。同パブリッシャーの“サマーリゾート”に登場されている紳士なんですがこれは…。

大きめの正方形タイル三種。ここにキューブを送り込みエリアマジョリティで勝利点を競います。

すべてのトークンを仕分けしてダイソーの小袋に納めました。

つづいて木製コマ。じゃらじゃら。

検品ついでに整列の写真。ミープルとキューブ、丸いのはスタートプレイヤーマーカー。

ミープルに接近。お馴染みの愛らしいシルエットです。

影響力マーカーとして使用される各色のキューブ。

彩色されていないこちらのキューブはリソースの木材。

はいこちらも仕分けました。

箱に残っていたのがこちら。

衝立4枚が把捉されていました。

プレイヤー別にカラーリングされている4枚の衝立。

広げてみたところ。内側にサマリの類いがあるものではないですね。

カードはこの2パック。

フィルムを破り裏面のデザインで分類してみました。この5種類。

矢印表記で作用が分かりやすい各種カード表面。

こちらは勝利点となる“城門”カード。2,3,4の四種類。

パブリッシャーの名刺のようなカードも。

このパブリッシャーの他タイトルも一枚一枚のカードで紹介されていました。

カードもこのように小袋に。プレイに使わないカードは小さめの袋にまとめて納入。

それでは箱にしまっていきます。まずはカードと衝立。

大きめの3枚のタイルをその衝立の上に。

ミープルの入った袋をばっさりと被せます。

そしてトークン類。

和訳ルールブックでフタ。

さらにその上に原文ルールブック。

蓋をして終了。

ポーランド発注目の若手デザイナーによるワーカー配置とリソース管理の中量級タイトルです。本記事執筆時点ですでにプレイ済みですが良質な(基本ルールなら)適度ゲームという印象で楽しめました。今度はオプションルールも採用してプレイしてみたいと思ってます。そちらも楽しみ。

UDA土曜ゲーム会('14/09/06)

$
0
0
9月のUDA会レポートです。プレイできたタイトルについての雑感等をアップしておきます。

“ドス・リオス”(フランツ・ベノ・デロンジェ/コスモス/2004年)

水が(物理法則に則り)高い所から低い所へ流れていく、高低の概念があって川の流れがより低い所に進んでいくというアイデアをボードという二次平面上に上手く落し込んでいるデロンシュのルールを読んだときには「おお!」と惹きつけられましたが…。

潤いをもたらす貴重な二本の水源をめぐる一種の陣取りで、高低を把握した場所取りも“ならでは”の味わいが確かにあったのですが、いかんせんダウンタイムの長さだけは如何ともし難いものがあり、閉口せざるを得なかったのは残念。

完成されたシステムのみが提供され、後はプレイヤーの柔軟な戦略のぶつかり合いとなる自由度の高い世界に僕などは“デロンシュらしさ”を感じ、けして嫌いなテイストではないものの、このボリュームで流石に実プレイ3時間にはいささかぐったり。Neutral

アイデアは光っていますが4人は多すぎるタイトルだったのかも。

“ラインレンダー”(ライナー・クニツィア/ハスブロ/1999年)

蛇のように曲がりくねる河川の河岸をめぐる陣取り。

基本的にはカードのドロー&プレイで自陣を強化しつつ他者の領地の併呑を目論むシンプルな大が小をのみ込むタイプの陣取り。

基幹はシンプルながら壁の役割を果たし不可侵を可能とする“要塞”や、最終的な勝敗の決定が緻密な勝利点の計算に依るところなどなど本作ならではの妙味がしっかりと確立されており、セッションは非常に楽しめました。

なるほどたしかに“クニツィアのアクワイア”という説があるのも納得で、大雑把にいえば確かにそれが手っ取り早い説明ですが、名作の秀逸なエッセンスを独自に消化しつつ、その先で単なる模倣に堕しているわけもなく、システムを理解した上での緻密な指し回しが領地の保有権逆転等々に活きてくる余地が残されているあたり、単純なカードドローの運次第のタイトルには終わっていない充実作という印象で評価はPositive

これは今後機を見てはリプレイしていきたい一作か。こういうクニツィアは大好き。ユーロの持つ魅力もたっぷり。

“OLE-KAJI”(田上雄一/TAGAMI GAMES/2014年)

ワーカー配置に拡大再生産、リソース管理、特殊効果のカードという、既に慣れ親しんだ感もあるゲーマーズゲーム。日本人作。

“プエルト・リコ”以降の“テキストのある”戦略的なドイツゲーム(あるいはユーロ)路線の一作で、その手の(現時点での)集大成的なものに挑戦(あるいは作者自身が純粋にどうしても作ってみたかった)し、結果的に至極真っ当に成功している佳作というのが第一印象。

要素の多さから経験値の少ないボードゲーマーにはトゥーマッチの一言で避けられてしまうかもしれませんが、全体的に個々の要素がバランスよくまとまっている完成度の高さからか、全6ラウンドはあっという間で、各プレイヤーが己の進むべき方針、戦略に知恵をめぐらす愉悦をたっぷりと堪能できる良質で正統派のゲーマーズゲームかと。

個人的には運や揺らぎの要素(確かにカジノや黒魔術というアイデアは面白い。しかし各ラウンドのワーカー数がダイスロールで“概ね”決定されるというのは冒険的!)がこの手のタイトルにしてはやや強め(強力なランダムイベントの発生には賛否両論ありそう)と感じられた分僕はマイナス補正で評価はPositive-

まだ他にもありそうだが大量得点のためにはとりあえず“建築型”と“航海型”ふたつのタイプは存在する模様。

しかしよくぞこれだけの要素をバランスよくうまく纏め上げたものだよなあ、と感心しきり。

“七人の賢者”(ライナー・シュトックハウゼン/アレア/2002年)

ラウンド毎にプレイヤー同士の自由な交渉にて二つの陣営に分かれ、シンプルなカードプレイで互いの陣営の優劣を競います。

“昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵”を地で行くようなメカニクスの、なるほどこういう形でのマルチもありなんだな、という新鮮な驚き。

例えパートナーとなったとしてもゲームに勝利するのは最終的には最も勝利点を獲得した一人のプレイヤーなので厳密には敵であり、1ラウンドのみという短い期間での呉越同舟という感覚は一種メタゲーム的で、視点の位置が重層的に用意されているかのような感覚こそ本作ならではの妙味かもしれません。Positive-

この作者らしい地味渋ゲー。

“ネヘミヤ”(ルーカス・ウォズニアク/グライ・レオナルド/2014年)

ポーランドの出版社からの“メルクリウス”などの若手デザイナーによるワーカー配置、リソース管理、エリアマジョリティ。

ワーカーを配置するカードが縦列横列で整然と並べられており、ワーカーは各縦列ごとに上から埋めていくというのが緩やかな縛り。配置されているワーカーをアクティブにしてアクションを発動するときに若干のコストを支払うことでそのワーカーより上にある発動済みワーカーを再発動できるというのが本作ならではのメカニクス。

各種アクションがシンプルで分かりやすいためか、基本ルールのみでのプレイだと良質な適度ゲームという印象。もちろん悪くはないのですが経験豊富なプレイヤー同士であれば最初から競り要素の取り入れられたオプションルール込みでのプレイのほうが推奨できるかも。Neutral+

相手にいいカードを獲られたくない、そして自分が狙いのカードに置きたいという側面が濃厚なため“これは洗面器ゲームだな”とセッションの間ずっと感じていました。

“木食い虫”(クラマー&キースリング/クィーン/1998年)

名コンビによるシンプルながら完成されたカードゲーム。

絶対値を基にした緩い縛りの中で手札をプレイしていくわけですが、早く手札をなくして30点獲得を目指すか、コツコツと手堅く場札を回収していくか、プレイヤーのとる方針は大きくこの二つに分けられる感じ。

地味ながらしっかり完成されており十分に楽しめました。本タイトル立卓時点で午後11時を回っておりこの日は眠気に襲われていたせいで半ば朦朧としていたためワンディールのみで終了せざるを得なかったのが悔やまれましたが…。

良質なジレンマのお手本のような一品かと。Positive。今後まだまだ立卓する価値はありそう。



以上この日は全6タイトルを一日かけてたっぷりと楽しみました。参加していただいた皆様に謝意を。ではまた来月。

UDA土曜ゲーム会('14/10/11)

$
0
0
毎月恒例の自宅ゲームスペース(とはいえ諸般の事情により今回の会場は公共施設でしたが)“UDA”でのゲーム会のレポートです。

プレイできたタイトルについて簡単な感想などをアップしておきます。

“ボード・ゲーム・ギーク・ゲーム”(リチャード・ブリーズ/R&Dゲームズ/2009年)

世界最大のボードゲーム・データベース・サイト“The Boardgame Geek”の創立10周年を記念して出版された、ギークによるギークのためのギークのゲーム。略称は“TBGGG”。

メカニクスはダッチオークション、セットコレクション、ダイスロール等々。その上にフレーバーとして大量の名作ボードゲームが載る、という構図。

シンプルで分かりやすいルールながらどこにも破綻はなく、適度なインタラクションやジレンマもあって、純粋にゲームとしてもそこそこ楽しめるという印象。おそらくブリーズがエリック・マーティンに依頼されて3か月くらいでサクッと完成させてしまったのでは?というのはあくまでも僕の妄想ですが…。Neutral+

ボードゲーム購入のための原資となるお金は自社のタイトルを他プレイヤーに勝ってもらう以外に入手の手段がなく、資本のやりくりは常にカツカツでした。

実在する大量のボードゲームが実名のままコンポーネントに採用されており、ネタの宝庫というかなんというか…。見ればわかる圧巻のクラマーフレーム等々すべてのゲームタイトルを言い当てたくなるのがフリークの性で、中には分からないタイトルもあるのですが…

このようにしっかり解答も用意されているのでご安心をw もうほんと徹頭徹尾マニア向け!

“ルークplus”(作者不詳/1992年/パーカーブラザーズ)

切り札ありマストフォローのトリックテイクで、獲得したトリックの中から任意の一枚を選択し、ビンゴを行うというもの。

自分の狙っているカードそして相手が欲しいカードがあることからそれを見越したトリックテイクをプレイする必要がありそこが本作ならではの妙味。

なるほどこういう風にトリックテイクとビンゴをリンクさせることも可能なのだな、という発見で、とはいってもまあそれ以上でもそれ以下でもないという印象も拭えず評価は可もなく不可もなくNeutral

収束するの?というモヤモヤとした空気の中で、しかしながら油断しているとスパッと終了することもあって、だから切り札ありのマストフォローは怖いのかなー、とか。

“郵便馬車”(アンドレアス・ザイファルト/ハンスイムグリュック/2006年)

複数の適度に絡み合った“条件”があって、その“条件”の達成を目指すのですが、他プレイヤーと比べて相対的に早いほど高く“評価”されるシステムなので必然的に“競争”が発生するという仕組み。この“条件”の設定の仕方がまずは上手い。だからゲームが面白いという印象。

盤面の状況つまり本作の場合自分や他者のネットワークの状況、オープンされている6枚の場札等々から1点でも多く点数を獲得するための最大効率の模索を強いられるキリキリとした一作で、カードドローという運要素はありながらそれを十分に考慮したとしても競技性は高く、また整理すべき情報量の多さから言って“フリーク向けの本格派”というのが僕の中での本作の立ち位置。

テキストなしでこの水準まで持っていけるというのはユーロの可能性の提示ともとれ、そこにザイフェルトの手腕の高さを感じるなど。

収束性の高さなど様々な要素も加味して考えると、ハンドマネジメントとネットワークビルド(という割とよくあるタイプのゲーム)のひとつの到達点という印象さえ。Positive

このセッションのあと“競争”は果たしてインタラクションを発生させるかどうかということをずっと考えてしまう始末。例えば100メートル走に駆引きはあるだろうか、フルマラソンには駆引きは間違いなくあるだろうな等々。

“Pairs”(ジェイムス・アーネスト、ポール・ピーターソン/チーパス/2013年)

ペナルティを被ったプレイヤーのみが自分の場札を流せるという“コンティニュアス”ルール採用で5人プレイ。

良質なジレンマが産まれており“ベーシック”よりも間違いなくゲーム性は上で、僕などはこれこそが本来の姿ではないかと思ったほど。Positive-

とはいえ“ベーシック”もファミリーでお手軽にパーティゲームとして楽しめる良作で、過大評価気味に言えばここに本作の懐の深さがあるのかな、とか。

瞬間的な最大風速で勝負するような10分ゲームとして秀逸で、アートワークも素晴らしいですし、国内流通しないのが実に残念。兎に角広くプレイを勧めたい走り幅跳びゲーム。

(付言:“ベーシック”および“コンティニュアス”の用語の使い方については多分に個人的なものである可能性もあることをここに付記しておきます。)

“宝石の首飾り”(アンドレ・フローベル/シュミット/2000年)

競り上げ競り下げの二つのオークションとセットコレクションのカードゲーム。

単体の宝石を複数組み合わせることでできあがる“ネックレス”は大きな価値を生む可能性があり、そこに夢を見て各種宝石を落札し、収集していくのは単純に楽しい。

マイナスポイントはシンプルとはやや言い難いいくつかの例外処理の存在で、ここをどう見るかで本作の印象は変わってきそう。

僕自身はもう一度ルールを整理した上での再戦を望みたいけれど、この手のシステムのゲームであればザックリとした例外の少ないルール(クニツィアのような)こそ生命線という思いもあり今回の評価はNeutral-

随分昔のゲームながら美しいアートワークは完成されており、それがコレクションの楽しさを後押ししている点は見逃せない。

“クシディット王国記”(レジス・ボネッセ/リベユー/2014年)

言い訳を一切許さないキッパリ、毅然とした態度で迫ってくる女子学級委員長(メガネ)のよう。ゲームが優等生だからなおさらそのイメージw

名作“ヒマラヤ”のボネセ自身によるリメイクで、出たばかりピッカピカの新作。

1ラウンドで各自が6つのアクションをプロット、計12ラウンドでゲームは終了。各プレイヤーはゲーム終了時に採点される3つのパラメータを上げることに凌ぎを削る。

プロットを終え計画ボードから手を離したらそこからは一種の自動処理で、盤面がどのように変化した後であろうとも手直しや意志介入が一切不可能な点は名作同様で、まるで切れ味鋭い刃のようなメカニクスだ。ただそれ故に目論見が的中し思惑通りの展開から十分なリターンが得られたときの快感も本作ならではのもの。

ダイスロールが廃止されタイルによってモンスターやリソース(本作では兵士の形をとっているけれど)が盤上に登場するのでその点で変な偏りが発生しない点、また終盤での、特定の都市、リソースを指定しないモンスター、タイタンの導入など諸々良質な改善かと。

三段階にわたる足切りで最終的な勝者を決定するメカニクスも言い訳を受け入れない厳しさを感じさせ、フェルトとはまた違った方向性でのマゾヒズムさえ感じたり。

比較的シンプルなルールながら広い視野と多彩な選択肢の発想、そしてそこからの取捨選択とプレイヤーに求められるハードルは低くなく、明るいアートワークの衣を纏った(その実)フリークゲームというのが僕の中での立ち位置。

サプライの徴兵タイル、脅威タイルの処理がやや煩雑な点のみがマイナスだがいやしかしよくできたゲームと唸った。Positive-

あと蛇足ですが個人的には本作により“ヒマラヤ”の存在価値が下がったとは思っていません。入手困難なこともありますし、あのタイトルはあれでリプリントしてほしいくらい。

“ブラックフリート”(セバスチャン・ブリーズデイル/スペースカウボーイ/2014年)

(古き良き)ボードゲームの楽しさのブリーズデイルによるアップデートな再構築。

自分と他人、複数のコマ同士が所狭しと行き交い、パチパチとぶつかり合う楽しさ。そこにテキストによる特殊能力や拡大再生産的な要素を取り入れ、その楽しさを助長するという構図。

分かりやすく後腐れのない実にさっぱりとしたドンパチで、直接攻撃は嫌だ云々といった議論とはまた別の次元でのぶつかり合いに僕は一種新鮮な感覚さえ。

この楽しさ、そして収束性の高さはプラスポイント。逆にテキストの占有率、マネジメント性の希薄さなどはマイナスポイントになってしまうかな。

ただ“ウィウィルウォクユー”や“レミング”ましてや“キーフラワー”とは一味違うがこの何とも言えない“彼らしいゲーム性”に僕はブリーズデイルっぽさを感じてしまったのも事実。

時間の関係で残念ながら今回は途中協議終了となってしまい評価は保留(多分Neutral~Positive-)だけれど楽しめたのは間違いなく再戦の機会を作りたいもの。

僕がボードゲームに求める緻密なマネジメントの妙、短期長期的な視野で戦略を練る楽しさ、また他プレイヤーとの盤面での熱い駆け引き等々はここでは希薄ながら、しかし“ゲーム”の面白さは十分に担保されているというのが現時点での印象。やっぱりスペースカウボーイは悪くない。

“四天王”(セドリック・ルフェーブル/ルドノート/2011年)

ケーキの切り分け問題とエリアマジョリティ、少々の特殊効果といったメカニクスの上に日本の戦国時代というフレーバーが載る。

勝利点となる陣地の確保のために必要な“兵力”または“石高”、そしてさらに特殊効果や手番順で差別化されている“四天王”が加わり、計3つのカテゴリからそれぞれのプレイヤーの取り分を親が決定するという“ケーキの切り分け”がメインのメカニクスとなるピュアユーロ。

ゲーム全体の情報量は分かりやすく、きっぱりとコンパクトにまとまられており、長くても全6ラウンドという収束性の良さ、そしてテキストに頼らないゲームデザインにユーロ愛好者はほっこりしてしまう。とはいえ問題のカードの分配には当然ながら頭を抱えざるを得ず、プレイヤーの手腕が試される厳しさも。

たった4マスで所有者が決定される陣地の奪い合いは熱く、カードの選り分けに関して言えば如何に自分に美味しく、他人にはゴミのような組合せを作れるかが肝心なところだとは分かっていてもそうそう上手くはいかず、そこはまあ理想論ですかね。

ジワジワと控えめながら効果的な特殊効果も味があってよろしいかと。Positive-

欲張っても欲張らなくても勝てない、絶妙な塩梅を目指す妙味。



というわけでこの日は全8ゲームを楽しむことができました。ありがとうございました。ではまた次回!

追加の一枚。(いろんな所にネタが!)

UDA“マデイラ”会('14/10/22)

$
0
0
先日昨2013年のエッセンにて発表された注目作のひとつ“マデイラ”をプレイするためのゲーム会を開催しました。

入手以来未プレイのまま一年近くゲーム棚に眠っていたタイトルのひとつをこの日遂にプレイすることができました。

この日はこのメインディッシュと、その前の前菜とでも言うべき3種のゲームを立卓、計4つのゲームを一日にわたりプレイできました。時系列に則り立卓した順に各タイトルの簡単な感想をこちらにて紹介したいと思います。

“グランド・ナショナル・ダービー”(ライナー・クニツィア/ピアトニク/1996年)

まずはクニツィアの旧作から。初プレイ。3人。

8頭の出走馬が計5回篩にかけられ、生き残る3頭の馬を予想します。

早い時点での正解ビッドほど点数が高いことからゲーム終了までの未来を見越したハンドマネジメントが求められるのと、プレイされたカードは誰でも何枚でも上書き可能というのが特徴的。

手札の内容からマネジメントの将来的な計画を練ることの醍醐味が、シンプルなシステムの中で端的に楽しめる、クニツィア的な切れある一作。十分に面白い。

3人はやや少なかったせいもあるのか、今回のセッションでは終盤で明らかなキングメイカー問題が出現してしまいましたが、それもそれまでの展開の結果として納得できてしまう説得力の強さを感じるなど。Positive-

似たようなシステムのゲームがトランプにもあって、クニツィアがそれをどこまで意識していたか等々は興味深いところ。

“カテナ”(ライナー・クニツィア/プロリグノ/1992年)

ひきつづきクニツィア。こちらも初プレイ、3人。

大雑把に言えば、7つの陣地をめぐるエリアマジョリティ。エリアは個々のマスからなり毎回指定されたマスに全プレイヤーが同時ビッドを行いマスを落札。マジョリティを得たプレイヤーがそのエリアのマス数分の得点を得る。

贅肉の一切ない、骨組み、システムのみで構成されたソリッドな一作。加えて運要素もないから多人数アブストラクトとも言える。

コマの数値の関連性で若干の遊びが設けられてはいるものの、本質的には極めて限定された情報量をもとに行われる純粋な心理戦で、僕なんかは好きだけれど、淡泊と敬遠される向きも否定はできないか。

1ゲームが15分で終わるいわば50メートル走のようなタイトル。Neutral+

ボードやコマそしてコマのスタンドまで総木製のコンポーネントは“立派”の一言。ここまでくると工芸品の域。

レアリティの高いタイトルでもありますね。

“サマルカンド”(シド・サクソン/アバクス/1998年)

巨匠サクソンの市場ゲーム。3人。

セットコレクションをメインに、ハンドマネジメントやダイスロールといったメカニクスからなる、砂漠を舞台にした商いゲームで、移動については変型双六をベースにしているとも見える。

3種のマスにて商品の交換、購入、売却を行うことで利潤を得、いずれかのプレイヤーが既定の財産を築くことでゲームは終了。

運も戦略もバランスよく取り入れられた、古き良き直球のピュアユーロ。

本作ならではの突出したポイントこそ少ないものの、“行商”というフレーバーが上手く再現されており、無理も無駄もなく手堅くまとめられたデザインで、セットコレクションの妙味を誰もが安心して楽しめる一作かと。Neutral+

ドーン“イスタンブール”と本作を関連付けましょうか、どうしましょうか…。>識者各位

(余談:本作もそうですが同名別ゲームって結構ありますよね。どれだけ上げられるかでゲーマーレベルが計れるバロメーターとしても機能するかもw)

“マデイラ”(パウロ・ソレダード、ヌノ・ビザロ・センティエイロ/ホワッツユアゲーム/2013年)

前菜3種を終え昼食休憩ののち4人となって本日の主菜となりました。

ポルトガルによって発見された“木材”を意味する名前を冠する孤島を舞台にした開拓系。

ワーカープレイスメントやリソースマネジメント、ダイスロール、フードサプライ、個人ボードといった近年のフリーク向けユーロのメカニクスが網羅された感もある、ここのパブリッシャーならではのボリュームあるタイトル。そのボリュームがインストのハードルを高めるのは勿論のこと、情報量の多さから初回からスイスイとゲームを進めるのは困難な重量級。

要素が多いので何から手をつければいいのか途方に暮れそうですが、勝利に不可欠な大量の勝利点獲得のためには必須とも言えるタスクの達成を当面の目標に据え、そこから遡ってひとつひとつ足場を固めていくというのがまずはオーソドックスな攻略法か。

このタスクはある程度選択できるので、なるべく他者とかぶらないものを選択することで払う労力を軽減し、そこから複数のタスクを高い達成率でコンプリートし大きな勝利点をモノにするのが理想のカタチ。これらのタスクが絡み合っていることで本作の重厚なプレイ感が産まれているようにも思いました。

特徴的なのは一因多果とでもいえばいいのか、ひとつの判断が複数の結果を決定する場面が少なくない点で、それが一手一手の重みの要因にも繋がっているという印象。

良質なバランスで各種要素が無理なく詰め込まれた戦略性十分の歯応えあるフリークゲームで全5ラウンドはあっという間。Positive-

マイナスポイントは要素の量の割に取り得る戦略の幅は存外狭そうな気配があったことと、やはり収束性の悪さというか1ゲームに要する時間。これでもう少し早く終わるのであれば何度かのリプレイも考え得る完成度の高さはあるのですがね…。(やはり表記120分は伊達じゃない!)

とはいえトータルな完成度は非常に高く、この見知らぬ孤島を舞台にした未開の地の開拓やギルドや国王の補助、植民地への船出や貿易などからなる3時間半の攻防は濃密な現代テーブルゲームの快楽を存分に提供してくれました。



以上4タイトルにてこの日のゲーム会は終了。帰途では“やはりたまには重量級ゲーマーズゲームもいいものだ”という余韻にひたっていました。

越前市(福井)ボードゲームの会 10月ゲーム会('14/10/26)

$
0
0
26日の日曜日は主催する地元オープンゲーム会の開催日でした。

ここ福井は越前市で最高気温27度を記録した秋晴れの快晴の一日、窓を開放し終日たっぷりとテーブルゲームを楽しみました。

プレイできたタイトルについて雑感等をこちらにアップしておきます。

“戦国時代”(ライナー・クニツィア/ファンタジー・フライト/2014年)

まずはこのクニツィアの新作から。

場に並べられた城をダイスの出目によって陥落させ勝利点として入手します。

インスト10分の非常に分かりやすいダイスロール系。実プレイは30分ほど。

特殊カード(能力)の類いが一切登場しないのが潔く、またそれゆえ実にプレイしやすいという印象。

自手番での第一ロールの出目で最も確率的に低い(というか希少価値が高いというか)組合せからその手番で標的とする城を決定したら後はダイスロールの出目次第(これがセオリーと思われる)ということで運要素は強い。一言でいうと“人事を尽くして天命を待つ”タイプ。標的とする城を決定した後はプレイヤーの意志が介入する余地は少なく、ジレンマは薄いというのが現時点での僕の解釈。Neutral+

シンプルなほぼダイスロールのみのゲームを楽しめるかどうかで評価は分かれそう。ダイスロールの結果に一喜一憂できる面子で卓を囲めれば盛り上がれるタイトルで、この日のセッションがそうだった。

言語依存はほぼないですが明朝体の漢字が載ったカードは悪くない。

“ビュッフェのたたかい”(マーティン・ワレス/コスモス/2011年)

名作“ウントチュース”のワレス自身によるリメイク。

カードにすべてが集約され一元化されていた前作がハンドマネジメントとしてのカードと勝利点としてのタイルに分けられた点が最大の変更点。また勝利点となるタイルがカテゴリ分けされたことで各プレイヤーの諸事情がインタラクションを産みだしており、読み合いや駆引きの奥深さは今作の方が上。

シンプルゆえにジレンマが引き立つカード版かより豊かな駆引きの楽しめるボード版か…プレイヤーは選択する幅が広がったといえるかも。

ワレスというとどうしても重量級の濃い作品のイメージが強いけれど、こういうファミリーストラテジを作らせても一級品で、本作からもデザイナーワレスの非凡な才能を感じる。

余計なものが一切なく、ゲームの楽しさに没入できるプレイアビリティの高さも好印象で、純粋にドイツゲームとしての到達点も相当高いという印象。Positive

5人というプレイ人数も良かったに違いない。この日のベスト。

“GO STOP”(沢田大樹/レイトとこぶしゲームクラブ/2005年)

海外で高く評価された日本人デザイナー作のシンプルなバッティング系カードゲーム。6人。

永らく入手の難しい状態が続いていたオリジナルに代わり、今春国内パブリッシャーにより再版されたアートワークも美しい2014年バージョンで。

1から10まである得点カードの獲得をめざし、“GO”か“STOP”のカードをプロットするというシンプルなもの。ただしバッティングした場合は無効となることから厳しいとさえいえる非情な心理戦が始まる。

ほとんどフレーバーらしきものがない骨組みだけの簡素ともいえるシンプルなルールのみのゲームで、それゆえ圧倒的なまでの心理戦に向き合わざるをえないという構図。

こんなシステム原理主義のお手本のようなゲームの作者が日本人であることに我々は胸を張ってもいいのでは、という思いも。Positive-

極端ともいえる淡泊さと背水の陣ともいえる心理戦に逃げ出したくなるか、切れ味一本勝負の潔さに惚れ惚れとするか、ゲームに参加するプレイヤーもはっきり二分されそう。僕は後者。こういう作品が時の風化に耐え、後世まで残るような気がする。

“チケット・トゥ・ライド~インド”(アラン・ムーン/デイズ・オブ・ワンダー/2011年)

名作の拡張マップ。4人。

“マンダラ”とネーミングされた新しい得点計算方法が独特で、1枚の行先チケットを異なる2つのルートでつなぐことでボーナス点が得られるというもの。
がこれがなかなかに難しく、ぎゅぎゅっと線路が集中した中央部は特に激戦区で、自分の行先チケットや盤面の状況とにらめっこして吟味した結果これは無理と判断しマンダラボーナスは無視してシンプルに行先チケットの1枚でも多い達成を目指しました。

マンダラでいくかノーマルにチケットでいくか、大きく二つに選択を迫られるやや上級者向けのマップというのが僕の印象。

馴染みのないインドの地名との照らし合わせがプレイアビリティに影を及ぼしますが、ハンドマネジメントとネットワークビルドの幸福な出会いがもたらす本作ならではの醍醐味は健在で、その高い完成度を再確認するなど。Positive-

プレイ後まだ未プレイの拡張マップもすべてプレイしたくなりました。

カラフルな列車コマがルートに則りボード上にそれぞれの軌跡を形作っていく光景が大好きなんですよね。

“斬サムライソード”(エミリアーノ・シアーラ/dVジョーキ/2012年)

秘密裏に3つの陣営に分かれて行うチーム戦。5人。

手札をプレイすることで敵対すると思われるプレイヤーのライフを削っていくシンプルな殴り合いがメインとなるテキスト中心のカードゲーム。

テキストの効果にそれほど派手なものはなく、フレーバーを楽しみつつワイワイ盛り上がるのが本作の真っ当な楽しみ方か。

いずれの陣営に属するのか、プレイヤーのアクションからもう少しヒントが与えられる(そして陣営の類推が的中することにメリットがある)方が僕の好みではありますが、まあこれはこれで十分ありで、“ごっこ遊び”としてのパーティゲームと考えればまずまずの完成度というのが僕の印象。Neutral+

“居合い”と“残心”を覚えた“武蔵”が無双の強さで盛り上がりました。(しかしそれゆえに狙われ結局は終了フラグをオンにしてしまいましたがw)


この他私の参加しなかった卓では以下のようなタイトルが立卓されていました。

“バサリカードゲーム”ですね。カードゲームとして手軽に“バサリ”が楽しめるようになった佳作です。

もう間もなく日本語版が発売される見込みの“グラスロード”です。これはドイツ語版。けして重量級というほどでもないプレイアビリティの高いタイトルのようでした。



以上この日もたっぷりと堪能した一日でした。参加していただいたみなさんに謝意を。また次回、お相手宜しくお願いいたします。

シュリンクを斬る!㊳ “グラン・クリュ(Grand Cru)”の巻

$
0
0
新品のボードゲームの箱をあける開函ドキュメンタリー、今回で通算38回目です。

今回は2010年にエッガートシュピーレから出版されたワイン栽培をテーマにした農業ゲーム“グラン・クリュ”の箱を開けました。

というわけでこちらがゲーム本体、シュリンクを被った最後の姿。

最初から綻んでシュリンクに一部隙間ができていたので今回はカッターは使わず、そこから開封していきます。

ビリビリ…。

ばっさり。

裏面にまわりこちらもばっさりといきます。

シュリンクをはがしました。ぴっかぴか新品のつるりとしたナイスな手触り。

作者はウルリッヒ・ブルム。他にはアドルングからの“アンティグア”などのデザインを手掛けている人。

仕様です。表記90分、12歳以上とはなかなかの重さを予感させます。

裏面。

“ワイン愛好者のための経済的戦略ゲーム”という付言。

コンポーネントのリスト。すべて英語表示ですね。

プレイ中のイメージアート。わくわくしてきます。

難易度は“複雑”とのこと。

おお、ドイツ製。

それでは箱を開けます。

ぱかっと。

まずはルールブック。

添付されていたルールブックは英文のみ。ドイツ語がないのは珍しいですね。ひょっとして海外輸出用とか。

作者の近影も。おお、ハンサムなナイスガイ。

ルールブックの下からはこんなものが。

なるほど仕切りですね。

パンチングシートは2枚。発色良く美しいものです。

色鮮やかなタイルたち。アップで何枚か撮影しました。

素晴らしく美しいブドウたち。

4枚のブランクも含め、すべてのタイルを抜きました。ドイツ国内での生産のせいか非常に抜きやすくランクはA~Eの五段階評価でBの“良い”と認定。

こちらが“ブドウチップ”70枚。

そしてこちらが“改良チップ”24枚です。

小袋に仕分けました。ダイソーの3番ですが“ブドウチップ”はパンパンでぎりぎり。

つづいて個人ボード。

このようにアイコンと色で区別されています。

ボードは上部の“ワイン畑”と下部の“貯蔵庫”からなります。

裏面。このようなボール紙です。

さてではゲームボードへ。

ボードはこのような六ツ折仕様。

展開しました。全貌です。

各種チップの競りに使われるコーナー。

一年は基本的に4アクションで構成されます。

各ワインの価値、売値を表す表ですね。緑が安く青が高いのですね。

年末フェイズで使われるWP部分。

下のゲージが本作の重要なメカニクスのひとつ、“借金”をあらわすもの。

借金が11を超えると破産となりこれはゲーム終了の条件のひとつでもあります。

裏面は茶色一色。

残りのコンポーネント。

紙幣は4種類。単位は“フラン”。

こちらも何気にセンスの良いデザインかと。

袋に納入。

つづいて木製コマ。まずはプレイヤー毎のコマなど。数はぴったりで欠品なし。

側面からアップで。良質です。

立方体のキューブ“ワインマーカー”100個。各種数が違うのでルールブックと照らし合わせ、それぞれをカウントしました。こちらも過不足なし。

そしてざっくりと二つに仕分け。

内容物の検品も済んだので箱にしまっていきます。最初の仕切りをここではめ込みます。

まずはコマ類をざっくりと納入。

中央の凹部にボードをはめ込む感じ。

最後にルールブックでふた。

蓋をして終了。タイルの美しさが印象深いコンポーネントのタイトルでした。

例外の少ないプレイしやすい印象のルールで期待の一作。近日中にセッションに臨みたいものです。

ゲームマーケット2014秋 “戦利品”を中心にした参加報告

$
0
0
年に3回のテーブルゲームの祭典、ゲームマーケットに今回も参加してきました。

今回はいわゆる“戦利品”をメインに紹介することで参加記録としてこちらのブログに記事を残しておきたいと思います。

(※ほぼ購入したゲームを中心にしたタイトルのリストアップになっており、多くの方にとっては無味乾燥な内容かもしれませんが、興味のある方は是非ご一読ください。)

まずは商業/同人の別なく“国内のパブリッシャーから出版されたもの”という括りですべて並べてみたのがこちら。

細かく見ていきましょう。

写真左上からタイトルを紹介してみます。まずは最上段。

・“Devy Johns Poker”(タンサンファブリーク)

・“雨傘アンバランス”(Flip Flops)

・“うどんエイリアン”(7キューブ)

・“人魚すくい”(トコ)

・“アルアル”(新ボードゲーム党)

・“上座”(オサブラゲームズ)

・“グローブトロッターズ”(ゲームストアバネスト)

真ん中の段に移り、

・“姫騎士逃ゲテ~”(数寄ゲームズ)

・“海底探検”(オインクゲームズ)

・“お前の罪は何色だ!”(インストールゲームズ)

・“落水亭物語”(ゲームフィールド)

・“luz”(ルイス)(サークル倦怠期)

最下段が、

・“ハンプヤード”(米光と優秀なゲームデザイナーズ)

・“ひつじとどろぼう”(Power9Games)

・“Rolling Japan”(オカズブランド)

・“とりっく&でざーと”(操られ人形館)

・“オカシノビ”(アルハラ・システムズ)

つづいてテーブル右上部。同じく左上から、

・“ゴリティア”(ステッパーズ・ストップ)

・“Smoke”(薫風)

・“ジョン・スミスの柩”(イリクンデ)

・“パイレーツ・コード”(かぼへる)

・“己の信じた道を行け!!”(Analog(ic+y))

・“ワールド・モンガー”(遊星ゲームズ)

上から2段目、

・“ホトトギス”(米光と優秀なゲームデザイナーズ)

・“コバンいただき”(篠原遊戯重工)

・“GHOST POOL”(ASOBI.dept)

・“ラブレター”(カナイ製作所)

・“シークレット・ムーン”(カナイ製作所)

・“R~ライヴァルズ”(カナイ製作所)

下段、

・“ピーパー・カード”(まんまる)

・“ヴィラネックス合併協議会”(こげこげ堂)

・“ITACHI”(遊びたがり)

・“世情(せじょう)”(ASOBI.dept)

・“星刻のレムリア”(マニフェスト・デスティニー)

・“幻影探偵団”(ハッピー・ゲームズ)

テーブル左下部です。

・“Stereoman”(葵屋)

・“Subway Network”(Hammmer Works)

・“ポストマンレース(第二版)”(イマジンゲームズ)

・“MAYOR”(やおよろズ)

・“エイジ・オブ・リバイブ”(チキン・ダイス・ゲームズ)

・“A CHA CO”(マーチヘアゲームズ)

・“枯山水”(ニュー・ゲームズ・オーダー)

・“がちがちプリンス”(チキン・ダイス・ゲームズ)

・“ハイテンション利休”(チキン・ダイス・ゲームズ)

国産系は以上。

つづいて海外商業系、同人誌系です。

すべて並べてみたところ。

それではこちらも細かく見ていきます。

上段より、

・“テーブルゲームデザインの本4号”(遊星ゲームズ)

・“デザゲー#2”(葵屋)

・“デザゲー#3”(葵屋)

・“Game Boy Meets Girl”(葵屋)

・“ボードゲームおぼえがき”(ワンモアゲーム!)

二段目に移り、

・“カードゲームサンファン研究所”(ウィステリア)

・“トランプゲーム大全”(スモール出版)

・“アグリコラ理論”(人狼アグリコラ部)

・“ボードゲームはじめました”(ボドゲシオ)

つづいてテーブル右上部。上段から、

・“みんなのインスト”(ペンタメローネ)

・“語っていいボド”(Power9Games)

・“電源不要ゲームレヴュー”(ウィステリア)

下段に移り、

・“カタン・サバイバル・タクティクス”(カタンフリークス)

・“ニュー・ゲームズ・オーダー 2014冬カタログ”(ニュー・ゲームズ・オーダー)

・“ボードゲーム普及マニュアル”(ウィステリア)

そしてテーブル左下部。

・“アブストラクトゲーム博物館”(アブストラクトゲーム博物館)

・“突撃!隣のボドゲ棚 第1号”(突撃!隣のボドゲ棚製作委員会)

・“政治献金ゲーム2014”(ビウィッチトシュピーレ)

・“あると便利なカードスタンド4本組”(JOKER)

・“インフェクション”(ネスター・ゲームズ)

・“高松”(ミュック・シュピーレ)

・“ヘルウィグ”(シュピーレ・アオス・ティンブクトゥ)

・“シェッフェルン”(dlp)

・“エル・ガウチョ”(アルゲントゥム)

・“パナマックス”(メサ)

もう1点。集合写真に漏れてしまったのがこちら。

・“ぷらとんとアリストくれす”(ウィステリア)

最後にポストカードゲームです。

十式ゲームワークスさんのブースで無料配布されていたマップを参考に回れるだけ回って集めた成果が下の写真。

これで46種類ありますが、まだ他にも頒布されていたようです。

しかしこうして並べてみると壮観ですね。

“戦利品”報告は以上です。



一応15日(土)、16日(日)のおおまかな動きも簡単に書いておくと、

【11月15日(土)】

・午前9時前に典型的な冬型の気圧配置で冷たい雨の降る郷里武生を出発。すでにこの時東海道新幹線のダイヤの乱れを知る。

・名古屋で新幹線に乗り換え。突発的な事故のため東京到着が15分ほど遅れたが、太平洋側は素晴らしい晴天で、道中富士山も堪能できた。

・午後1時ころ(当初の待ち合わせ時刻にやや遅れて)富山勢と合流。

・4人でボドゲ系ポッドキャスト“ほらボド”でお馴染みの“momi”さん主催のゲーム会へ。こちらのゲーム会では“ブラックストーリーズ”、“クイズいいセンいきまSHOW”、“街コロ(全拡張入り)”、“Pairs”をプレイ。

・午後6時前にゲーム会より退場。yskさんと秋葉原へ。

・秋葉原“福の神食堂”にて夕食。あっさりとしたスープが抜群のおいしさ。

・秋葉原のメイド喫茶“シャッツキステ”に初入店。落ち着いた店内にて極上の紅茶を楽しみつつyskさんが今度出されるボドゲ本を拝読。“シャッツ~”は落ち着いた上質の会話を楽しむがごとき癒しの空間で、自分の持っていた先入観との差に驚くなど。

・イエローサブマリン(残念ながらすでに閉店してましたが)や秋葉ヨドバシへ寄ったあとホテルへ帰投。


【11月16日(日)】

・午前7時に待ち合わせして会場の東京ビッグサイトへ。待機列の状態はツイッターで常に情報を得る。

・午前8時過ぎより待機列。

・午前10時会場。予約できなかったもの→ポストカードゲーム→予約品の回収、という流れで大きく会場を3周。同郷の士“ちゃがちゃがゲームズ”に慰労に伺うもあまりの忙しさに却って邪魔になるなどw

・午後1時ころビッグサイト内“カフェテリアマーメイド”にて昼食の後午後3時ころに会場を後に。

・東京小岩の“蒼猫の巣”ゲーム会へ参加。TakPさん、円卓Pさん、ちきさん、アル隊長さん等々名のみ知る有名ゲーマーの方々と言葉を交わしたりゲームで同卓できたりと大きな収穫。ちきさんが非常に気さくで話しやすい方だったのとアセルテジオPさんにこのブログを読んで頂いていることを告げられたことが深く印象に残った。なおこの時プレイできたタイトルは以下の通り。

“ヘルウィグ”。シャハトの生存報告。自身の出版社からのピュアユーロならぬピュアシャハト。完成度高し。

“キャメルアップ日本語版”。TakPさんのインストでSDJ受賞作を5人で。安定の面白さを確認。付属の輪ゴム3本のうち2本が切れるという珍事が発生w

“アブルクセン”。ちきさんのインストで5人で。極上のカードゲームを2ディール。勝てたのが嬉しかった。

あとはアル隊長とサシで“Stereoman”をプレイするなど。“蒼猫の巣”の面々は普段僕が一緒にゲームを楽しんでいる面子と感じが近いこともあり、ゲーム会自体非常に楽しめました。主催のTakPさんに感謝。

・午後9時前に会場を退場。

・午後10時ころ東京駅構内ラーメンストリート“斑鳩”にてラーメン。

・午後11時半ころ初めての深夜高速バスにて福井に向けて出発。3列独立シートだったこともあり、思っていたより快適だった。

・翌17日(月)午前7時過ぎに郷里武生着。


とまあこんな感じの二日間でした。お世話になった多くの方にこの場を借りて感謝の意を。またお会いした際は宜しくお願いいたします。

シュリンクを斬る!㊴ “パナマックス(PANAMAX)”の巻

$
0
0
新品のボードゲームの封を切り、中身を紹介するこの企画、今回で39タイトル目となりました。

今回は先日のゲームマーケット2014秋で国内流通が開始されたばかりのピカピカの新作、メサボードゲームズ社の“パナマックス”の箱を開けます。

シュリンクを被ったゲーム本体。おなじみコスモス12インチ正方形サイズです。

シュリンクを破る前にまずは裏面に貼付されている和訳ルールブックを剥がします。

ビーッとセロテープを剥がす作業。

ビリビリと慎重に剥がしていきます。

まずはルールブックをはがしました。

ではいよいよシュリンクに刃をいれます。

ブスブス…。

できた切れ目からシュリンクを剥がします。バサバサ…。

表に回り、バッサリといきます。

はいシュリンクを剥がしました。つるつるの本体が目の前に。

船舶があしらわれた堂々たるタイトルロゴ。その下には三名のデザイナーのクレジットが。

出版のメサボードゲームズのロゴ。その隣にはハイデルベルガーのクマも。

この四か国語版ということでしょう。独、葡、西、仏ですね。英語はない点に注目。

ボックス裏面全景。

2~4人、90~120分、12歳以上と立派な本格派であることが窺えます。

電力不要のメッセージでしょうか。これは珍しいかも。

プレイのイメージイラスト。ごちゃごちゃしてますね。

ドイツ製でした。これだけでアガる私w いや別に中国製が悪いとは思ってませんが…。

それでは箱を開けます。ぐぐぐ…。

おお、まずはパンチングシート。

取り出してみるとパンチングシートは2枚でした。右側が船のタイル。大きさによりスロットが設けられておりここにダイスを載せる仕様です。

抜きました。抜きやすさはBの“良い”と認定。この辺りにドイツ製のクオリティを感じるフリークな私。

そしてルールブック。国語別に4冊。

英語がないのはちょっと不安になります。

開いてみました。美しいルールブックです。

じっくりとした実にマニュアル然とした印象でした。

そしてサマリシート4枚。

裏面もこの通り。

そしてボード。6つ折りのしっかりとした重み。

展開しました。大きい!

各種要素が全体にちりばめられたボード。緑色が鮮やかで美しい。

デザインと機能性がうまくまとめられたボードという印象。

裏面はパナマ運河の地図になっています。スケール別に3枚。立面図もあります。これがかなりかっこいい。

いちばん右のロゴ、どこかで見た記憶があるんだけど思い出せない。

クリップボード4枚。会社毎に1枚ずつあります。このボードを使い会社と個人の持ち物を区別します。

ここにトークン類を置いておくのでしょうね。

箱に残っていたのはこれら4点。

ミニユーロサイズのカード。裏面のデザインで分けると全部で5種類あるようです。

プラ製のコイン。5ドルと1ドルの二種類。

木製コマはこれだけ。会社毎に二つずつ。

そして大量のダイス。会社毎に9個ずつ。そして白ダイスが16個。欠品はありませんでした。

それぞれを小袋に仕分け。ダイソーの二番を使用。

それでは箱にしまっていきます。

ボードで蓋をして…

最後にルールブック。

蓋を被せて終了。

会社と個人の資産を分ける例のメカニクスの本格経済ゲームの登場です。プレイが楽しみです。
Viewing all 31 articles
Browse latest View live